あなたを愛する事がとても幸せです。愛しています。ありがとう。 ページ39
sideA
横浜の殆どをポートマフィアが支配する中、太宰が居るであろうホテルを探し出すのは安易だった。
ポートマフィアの傘下は横浜の殆どだ。何故なら、物騒なこの世の中で、弱いものは強いものに守ってもらうのが妥当だから。
然し、ポートマフィアの傘下に入っていない店の種類は、大きくわけて二つある。
一つ目は、つい最近海外から来たもの。
二つ目は、バックに政府がついているものだ。
その中でホテルとなると、絞られるのは駅についているビジネスホテル。
異能開業許可証は、政府の中でもトップクラスの者しか知らない。今面倒事を起こすと、ポートマフィアも後々動きにくくなるだろう。となると、恐らく偽名も使っていない。
もう日も暮れる頃。怪しまれないように持ってきたキャリーバッグを隣に止め、受付に尋ねる。
「『太宰』という人はこちらへ来ているでしょうか。彼の友人なのですが…」
「太宰様ですね?暫くお待ちください。」
…と、落ち着いた雰囲気のボーイが「此方です」と前を歩き、609号室の前に連れてこられる。
「太宰様、お客様がいらしております。」
ボーイの声に、少し遅れて返事が来た。
「ご苦労様。誰が来たの?」
柔らかい、やけに安心する声。昔から聞き慣れた、太宰本人の声だった。
何だか泣きそうになりながら、私は自分の名前を名乗った。
「…有川Aです。」
その瞬間、ドア越しでもわかるほど、太宰の雰囲気が変わる。
「ボーイ君、ありがとう。席外してくれていいよ。」
太宰のその声で、ボーイは何も言わずに一礼し、その場を去っていった。ボーイの姿が消えた頃、ガチャリとドアが開く。
何処か彼の人を連想させる、砂色の長外套を身にまとった彼。
ずっと会いたかった彼が、どこか掴めない微笑をたたえて立っていた。
「いらっしゃい。A。」
これでもかと言うほど優しさの詰まった声が耳に届く。それと同時に、私は太宰の胸に飛び込んでいた。
人肌特有の温かさを感じながら、私は呟く。
「会いたかった…ずっと、ずっと…」
「うん、私もだ。ありがとう、来てくれて。私を選んでくれて。」
腰に回された手が、どうしようも無く狂おしく、愛おしい。
「こちらこそ、ありがとう。待っててくれて、ありがとう…」
ふっと、どちらからともなく離れると、まるで磁石が引き合うように唇が合わさった。
そしてふと離れ目を合わせると、ふわりと幸せそうに微笑んだ。
幸せそうに___幸せそうに。
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そら豆(プロフ) - 千風さん» 本当にお前優しいなおい。ありがとう。3作目楽しみにしてるぜ。 (2018年8月28日 7時) (レス) id: a1dcc5c8f0 (このIDを非表示/違反報告)
千風(プロフ) - 有川シリーズ三作目の下書きにあたりコレ読み返して普通に泣く千風。どうしよう、壁が高い(( (2018年8月28日 1時) (レス) id: d4838ee308 (このIDを非表示/違反報告)
そら豆(プロフ) - 千風さん» 有難う!で、これは他の方にも言えるんだけど、リンクはちゃんと矢印の下にありますw見えにくくって申し訳ない… (2018年5月29日 7時) (レス) id: a1dcc5c8f0 (このIDを非表示/違反報告)
そら豆(プロフ) - 千風さん» なんだその略はw「ブツヨウ」か?次はあおあおだなw (2018年5月29日 7時) (レス) id: a1dcc5c8f0 (このIDを非表示/違反報告)
千風(プロフ) - P.S.実はこの小説を『物幼』と自分の中で略していた私を赦せ。 (2018年5月29日 1時) (レス) id: d4838ee308 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空豆火月(そら豆) | 作成日時:2017年3月25日 18時