対処法１２４ ページ33
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少ししかなかった小鉢の中身を空にして、Aは目玉焼きの平皿に取り掛かった。黄身をこぼさないように白身をわける箸使いはとても綺麗で、スコッチはそれを見ながら幼なじみの事を思い出す。あいつも、綺麗だったな。
ソーセージをプツリと歯でちぎり、肉汁をはふはふと咀嚼する彼女は「幸せ!!」という表情で頬に血を通わせていて、スコッチはそれに頬を緩ませた。
数日前までの憔悴しきった表情からは想像も付かない。あの時の彼女の頬は魚の腹みたいに生っ白くて、まだ肉球だった手ではよく分からなかったが、氷の様な冷たさだっただろう事は想像できた。
ストーカーだなんて卑劣な事に追い詰められていた時、何の声もかけてあげられなかったのにはうんざりする。自分は猫だったのだ。仕方ない。いや、仕方なかったのか?
『いや、ヒカリ……これは駄目でしょ!!』
「だめッてなにが?」
『美味しすぎる! いやこんな朝食だされたら女のコみんなイチコロですって』
じゃあ君も?と思わなくもないが、多分この子なんにも考えずに言ったんだろうな。 俺が幽霊であることすら忘れてそうな勢いだ。
日本食に煩い幼なじみのせいでやたらと塩加減がうまくなった焼き鮭を口に詰め込む彼女の美味しそうな顔を眺める。目尻をさげて笑うこの子は、可愛かった。
彼女自身は自分の事を平々凡々な顔だと思っているらしいが、スコッチはそんなことはないと思っていた。確かに道行く人が振り返るような美女ではないが、何となく顔に華があった。だからこそ化粧で化けたのだろう。あの変貌ぶりにはスコッチも尻尾をピンとのばして仰天したものだ。
ストーカーなんて行為が許される日は永遠に来ないし絶対に許さないが、幸せそうに朝食を頬張る彼女は確かに「可愛らしい」のだ。小さく尖った顎から頬骨にかけての輪郭がなだらかだ。日に焼けにくいのであろう頬は透き通る様で、朱くなると分かりやすい。
太陽にあたってキラキラ輝く茶髪と、自分のような人間には少し眩しいくらい明るい瞳とは裏腹に、黒目がちの瞳の目尻を縁取るしなだれたまつ毛には色を感じられた。
黒目がちのその瞳のせいか童顔の印象を与える彼女は、白米を口に詰め込んではふはふとしていると、更に幼い印象を与えた。幼い無邪気さ。清廉とさえ読んでいい無垢な口元。
そんな不完全さがスコッチには好ましかった。自分がいつの間にか何処かにおとしてきてしまったそれを、彼女は拾い上げて大事に抱えてる
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あ - 面白くて一気見した者です、もう更新されないんですね、この感じだと……。残念です (5月4日 12時) (
レス) id: a4dff3124d (このIDを非表示/違反報告)
レモン - めちゃおもろいです！！夢主ちゃんの性格大好きです！更新楽しみにしてますっ！ (12月12日 10時) (レス) @page43 id: 18ff82607c (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大大大大大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (11月14日 20時) (レス) @page43 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - イヤァァァァアオワッタ好きですで (9月18日 15時) (レス) @page43 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
猫目 - すごく好きです (7月15日 14時) (レス) @page43 id: 5daa8eb0a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんず
| 作成日時：2019年12月28日 20時
