第三話 ページ5
さっきの、何だったんだ。
私はため息をつきつつ戸を閉める。
それからキッチンに向かい、昼食を作る支度を始めた。
さてと、今日のお昼は何にしようかな。
考えているうちに、「ただいまー」という気怠げな声が聞こえた。
やばい、帰って来ちゃった。
小走りに出迎えに行く。
『お帰りなさい、銀さん。お昼まだ出来てないん
ですよ。ごめんなさい』
「あー、別にいいよ。つーかさ、なんかお前…」
銀さんが、私の頭のてっぺんからつま先までを見回して言った。
「…新妻みたいじゃね?」
『いや、それ勿体ぶって言う事じゃないですよね。
確かに新妻みたいな格好してますけど。行動もそれっぽいですけど。銀さんの妻なんて御免ですからね、私は』
「俺も御免だ、お前みたいなダメガネ嫁は」
そう言い捨て、銀さんはジャンプの入ったコンビニのレジ袋を片手に、店の奥にあるデスクの椅子に、
どっかりと座る。
もしかして昼食の支度手伝わない系?マジ?
ジャンプに見入る銀さんを放って、私はキッチンに
戻った。
冷蔵庫の中身を見て、はっとした。
いや何も入ってねえし!?
『ちょっと銀さん!冷蔵庫空っぽなんですけど!?
気付いてたなら何かしら買って来てくれれば良かったのに』
冷蔵庫を覗き込んだまま、大声で銀さんに呼び掛ける。返ってきた返事はいつも通り積極的なものではなかった。
「ンなの、自分で買い出しに行けばいいだろ?
『いや、主婦担当って何ですか!?誰が主婦ですか!…もう、取り敢えず買い出し行ってきます。
神楽ちゃんが帰ってきたら、私は買い出しに行ったって伝えておいてくださいね』
はいはい、という生返事を背に受け、財布と鞄を
持って引き戸を開ける。
主婦担当、という言葉もあながち間違っていないかもしれない。
暫く歩くと、「大江戸マート」と記された看板を
見つけた。
そこに入店し、色々と買い出しを済ませる。
『あ、肉が安い…今日はハンバーグにでもするかな…ん?』
カゴにひき肉を入れたところで、私は手を止めた。
ケチャップなどの調味料売り場の人影。
あれ、あの人知ってるような…
私は肉の入った買い物カゴを持ったまま、
そこへ向かった。
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廣岡唯 - すげえな面白いwww続きをくれよ (1月20日 16時) (レス) @page9 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
歴史クイズ - 面白いので、続き読みたいです! (2022年7月10日 21時) (レス) @page9 id: 2c3a2f17ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼桜 | 作成日時:2018年12月8日 18時