【d!】魔王から逃げたい傭兵の受難

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お前相変わらずやなぁとコネシマが笑うのを皮切りに、そこら中から思いがけずアットホームで賑やかな反応をもらい変な気持ちになる。

前から思っていたが魔王に対する幹部連中の言動がとてつもなく軽い気がする。忠誠心がないわけじゃなく、王と側近というというよりもっと近しい間柄というか。
誰も怒らず不敬だ殺せと言い出さず、むしろ魔王にヤジを飛ばして笑いあってしまうのは魔族ならではの奔放さから来るものなのか？


「ハイハイうるせェなお前ら落ち着け！Aの所信表明は終わったから次オスマンから自己紹介はよ」

「あ、俺？俺この前挨拶しちゃったけどええん？はーいAちゃーん！マンちゃんだよーまたお茶しよなー」

「なんだお前も挨拶済みかよ」


じゃあ挨拶してない奴だけにするかァと言うグルッペンの横で、ひらひらとオスマンさんが私へと振る手に返しそうになるのをグッと耐えた。この人とてつもなく自然な友達感を演出してくるものだからつい呼応してしまいそうになる。


「ほら次誰だ」

「ふーん自己紹介していくぅー。あ、コネシマですチッス」


いやお前はもういいよって思ったけどそういえば本人の口から名前が出るのは初めてなのか。


「ゾムでーす」


おい待て君はもう挨拶してるだろ。


「ふーん俺も行くぜ。シャオロンでーす！Aちゃんかわええねっ！よろしくなー」


あっこの人も分かる。コネシマと言い合ってた全力スコップの人だ。やはり幹部だったんだ。


まぁ一応ここまでは関わったことがある幹部だからいいとして、あとの4人は完全に初対面になるわけで。


「ロボロでーす！よろしゅう〜」


どこか既視感のある見た目をしている「天」の紙で顔を隠した少年が元気に手を上げた。
もしかしてと飛ばした視線が噛み合い、私が何か言いたげなのを察したしんぺいさんがコクリと頷いた。


「ちなみに俺の息子であり恋人だよ」

「へぇっ！？……息子は予想ついてましたがさらに恋人ってのは爛れすぎでは」

「嘘つくなや！！！息子でも恋人でもないからな！まっっったく無関係や！」


そんな似たような格好しておいて繋がりがないのも驚くんだけど。あとこの人声がすごい通る。コネシマとはまた違った声の大きさをしている。


「…あぁ次俺っすか。ショッピでーす」


一気に声のトーンが下がったな。ハーフヘルメットを被り、落ち着いた、というか眠たげな印象を与えるライダージャケットの男が小さく手を上げた。


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