るろうに剣心短編 (ページ1)

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から紅の紅葉ページ1

紅に染まった紅葉がさあっと風に吹かれて
葉が空高くへ舞って行く。
わたしはそんな景色に四季を感じていた。

巴さんのお墓参りに行って、
みんなが自分の場所へ移り出した。

蒼紫と操は京へ帰り、
恵は故郷。会津へ。
左之助は世界を見ると、星空の綺麗な日。小舟で、小川を渡って行った。
その、左之助の後に残った長屋へ移った弥彦は稽古時にしか会わない。

こんなにも。ここは広かっただろうか？

冷たい風が流れ込む。

剣心は夕飯の買い物と言っていたが…
帰ってきてくれるのだろうか？

馬鹿馬鹿しい考えに首を横に振る。

当たり前じゃない。

それでも、中々その考えは消えなかった。
紅葉がひらりふわりと地に堕ちる。
紅に染まった、紅葉がやけに自分を情緒不安定にさせている気がした。

「お酒…」

こういう時にはそれに限る。
ふらりふらりと厨へ行くとお酒と杯を取った。

あ…

紅葉がわたしを情緒不安定させる理由がわかった…
この紅葉は剣心の色だ。

杯にお酒を注ぐと光に反射してキラッと表面が光る。
お酒をそのままグッと飲むと苦味が舌に触る。

ふわりとした感覚に襲われ思考回路が停止する。

お酒は何も考えなくて済む。
情緒不安定と化した自分に今丁度良い安定剤。

「美味しい…。」

そして、紅に染まる紅葉でまた、一杯。