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番外編 二 ページ38
〈もしもAが健康体で生きていたら〉
「え？旅？」
静かに本を読んでいると、ノッビアが嬉々としてあたしに言ってきた。
旅に出よう、と。
「何で突然？」
あたしがそう問うと、ノッビアの顔は一変、口を尖らせた。
「このままだとつまらないじゃないか」
「そうかな？あたしはこの生活も楽しいと思うけど」
本を読みながら答えた。
それにムカついたのか、彼はあたしの手から本を奪い去る。
「ちょっと！」
もっと広い世界を見に行こう！
そう言って、あたしの手を引っ張った。
あたしはその手を無理やり引き離す。
「A…？」
「ごめんなさい。まだあたし怖いの。大人達の蔑むような目が…怖いのよ…」
震える体を隠すようにあたしは蹲った。
「僕が…僕が守るから！」
「ノッビア…？」
今度は優しく、あたしの手をノッビアは包む。
「汚い大人達から僕がAのことを守るから！
だから！一緒に行こ？」
…あたし、ノッビアに助けられてばかりだな…。
「うん！」
でも、安心させてくれるのはこの人だ。
((安心感と拭いきれない不安))
___続く
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