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お互い初対面を果たし、自己紹介をし終わって補助監督が運転する車に乗り込む。
数分間、シーンと静まった車内の雰囲気を壊したのは意外にも七海だった。「目が赤いようですが、」と前置きして隣に座るAに語りかける。
「泣きました？」
『…泣いてな、い…です…』
そう声をかけられると、つい先程のことを思い出して泣きそうになってしまう。ていうか泣いてる。
七海がスッと差し出したハンカチをお礼を言いながら受け取り、涙が溢れ出ている目を擦った。
『すみません、ありがとうございます…』
「いえ、任務に支障をきたすようなら降りても構いませんが」
『…やります、大丈夫です』
クールな見た目に落ち着いた口調。初め見た時は厳しそうな人だな、と思ったが全くその通りすぎる。
呪術師という仕事にきっちり向き合って生きているんだな、とひしひしと感じAは鼻を啜った。
そしてそんな彼女を横目で見て、七海が言葉を発する。
「…話くらいは聞きます」
『いやっ、いやいやいやそんな…』
「…任務中死なれたら困るので聞いてるだけです。誤解なきよう」
『あ、そうですか…』
初対面から変わることのない七海節にもようやく慣れてきた。
彼に話して悩みが解決どころかメンタルボロボロにされそうだけど、話してみようか。
そんな気持ちで、Aは口を開く。
幼少期に親族に虐げられた、幼少期に人を呪ってしまった、などなど。
周りの友人は自分と背負うものの重さが違う。
彼ら三人は小さい頃から“呪い“に接してきた。いつも隣で“呪い“や“死“を見てきて。
それに比べて自分はどうだろうか。
世間知らず、温室育ち。そう言われても仕方がない。
最近呪術を知って、“呪い“を知って、“死“と隣り合わせの世界で生きるようになって。
幼少期を過ごした世界がどれほど平和だったのかを思い知らされた。
『…皆の話を聞いてると、わかんなくなるんです』
「…わからなくなる、」
『何を目標にして生きていけばいいのか、もう辞めた方がいいのか…私なんかが、ここにいていいのかなって』
「…」
再び車内は静まる。
数十秒誰も話さない時間が過ぎ、補助監督の到着の声が車内に響く。
急に元気になって車を降りる彼女を、七海はじっと見つめていた。
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ioio(プロフ) - ハリー・ポッターもななみんも大好きなので楽しく読ませて頂きました。つらすぎる… (8月25日 13時) (
レス) id: fd9c166f58 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - ボロ泣きした…しんどすぎる… (8月17日 21時) (レス) @page18 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 香月ちゃんの領域頭の中で想像してみたのですが、スゴい綺麗でした!!亡くなったあとも指導(？)してくれる七海さんも、とてもカッコよかったです!! (2022年1月6日 18時) (レス) @page18 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
なんなん(プロフ) - ユキさん» ありがとうございます！！体調の心配まで…嬉しいです！！ (2021年3月22日 23時) (レス) id: c1887ad742 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 続編おめでとうございます！この作品､大好きです!!更新､頑張ってください!お体に気をつけてくださいね。 (2021年3月21日 22時) (レス) id: 4b65aa76c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なんなん | 作成日時：2021年3月21日 18時
