12話 ページ15
｢眠れない･･･｣
そう言って何度目かも分からない寝返りをうつ
目を閉じると７年前の事を思い出してしまいどうしても眠ることが出来ない
明日の任務であんなことが起きたらどうしようと不安になってしまっている
私は眠ることを諦め,斑鳩家の庭に出て月でも見ることにした
＿＿＿ｻﾞｯｸｻﾞｯｸ
静かで暗い世界で私の足音だけが聞こえる
暗くて周りにある紅葉やいちょうの木ははっきりとは見えない
ただその暗闇を満月の光が優しく照らしているだけだ
｢こんな時間にどうしたんだ｣
声がした方向を見ると青色の着物の上に黒色の
ちゃんちゃんこを着たお父さんがいた
月の光がないと暗闇に同化していたので声をかけられるまで気づかなかったのだ
｢眠れないから月でも見ようかと思って･･･
お父さんこそこんな時間にどうしたの?｣
｢トイレに行っていたんだよ｣
｢そうですか･･｣
｢そのついでとは何だが,A,一緒に月を見ないか?｣
今日の月は綺麗だからね･･･とお父さんは言いながら縁側に座る
私が立ったままでいると手招きされてお父さんの隣に座った
｢久しぶりに満月を見た気がするわ｣
｢最近,忙しかったからね｣
目を細めながら空に輝く月を見る私がいった言葉に苦笑いしながらお父さんは答えた
二人は暫く黙ったまま月を見上げている
｢まさか,あんなにも小さかったAとバサラ討伐部隊として一緒に戦う事になるとはな｣
お父さんは月を見たままこちらを向かずに言葉を繋げる
｢少し前までは何かあったらすぐ泣いていたのにな｣
｢泣いたりしてません｣
いつの話ですかと言って私はお父さん
に返事する
｢･･･本当に大きくなったな
それに強くもなった｣
今度は私の目を見ながらお父さんは言う
｢私なんてまだまだだよ
なんでそんなこと言うの･･･?｣
お父さんの言葉に私はかなり混乱している
そんな私を見ながらお父さんは私の右手にあるものを持たせた
｢･･お父さんこれって･･･｣
それはいつもお父さんが持ち歩いている桜色のお守りだった
｢A,何も聞かずにこれを貰っておくれ
そして何があっても"なりたい強さ"に向かって突き進め｣
優しく笑って言うお父さんを見て私は言おうとした言葉が出ずただ頷くだけだった
私が頷いたのを見てからお父さんは最後に
私の頭を優しく撫で,立ち上がって静かにその場から去った
私は寂しげな後ろ姿を黙って見ることしか出来なかった
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いおらん(プロフ) - 妖さん» すみません！ありがとうございます。 (2019年2月24日 1時) (
レス) id: 5c7aed6e66 (このIDを非表示/違反報告)
妖 - 余ります重要ではないですが「自疑」ではなく「自凝」ですね。では、続編も期待しています。 (2019年2月19日 21時) (レス) id: a39dd38ad9 (このIDを非表示/違反報告)
いおらん(プロフ) - スノーさん» ありがとうございます！これからもよろしくお願いします (2019年2月16日 13時) (レス) id: 5c7aed6e66 (このIDを非表示/違反報告)
スノー - めっちゃおもろいです！更新頑張ってください！ (2019年2月9日 23時) (レス) id: 00c20daa01 (このIDを非表示/違反報告)
いおらん(プロフ) - 妖さん» 確かにそうですね･･･｡すみません！ご指摘ありがとうございます！ (2019年1月24日 13時) (レス) id: 5c7aed6e66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いおらん x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=maho1020
作成日時：2019年1月5日 14時
