買われました【文スト】

かわれました 32 ページ33

中原side

静かに作業してるアイツを横目でチラッと見るとわかりにくいが、眉をひそめ苦い表情らしきものをしていた。

コイツに初めて会ったのは俺もコイツも餓鬼の時。

今とは違って謙虚さもあり、餓鬼特有の愛嬌もあったが今じゃその欠片もねェ。











アイツが居なくなってから、Aは人が変わっちまった。

ただ大人になったってだけかも知れねェがな。

まァ、実際コイツは変わってないように振る舞っているが明らかに何かが変わった。あの鈍いで有名な芥川でさえも首を傾げさせる程だ。

それ程コイツにとってはデカい存在だったのかも知れねーが、俺からすればただのムカつく野郎だ。

アイツがいなくなったおかげで今じゃコイツのお守りは俺の仕事になっちまったしな。

A『なんですか。手伝ってくれるんですか？』

中原｢なわけねーだろ！自分でやれ！さっさと終わらせやがれ！｣

A『なんですか...そんなに怒ってるから小さくなるんですよ...』

中原｢一々うっせえーよ！手前は！太宰の野郎みてーなこと言いやがって！｣

と書類に何かを書き込んでるAに思わず言い返すと、Aは手を止め俯いた。

俺はやべ...と声を漏らし、コイツの前では太宰は禁句だった...と冷や汗を垂らした。

でも、こいつも大分しつけーよな。いなくなって随分経つってのに、まだ立ち直れてねーわけだしな。

A『太宰さんみたいな事って...』

と、悲しそうな顔でボヤくから、あー、ちげー、それは...などと呟きながら他の言葉を考えていたが

あの人に似るのだけは、死んでも御免ですね。なんて言い放つと再び淡々腕を動かし書類に書き込み始めた。











案外立ち直ってたりすンのか...？

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