買われました【文スト】

かわれました 13 ページ14

Aside

太宰「部屋から出てみるかい？」

太宰さんはいつものように会いに来てくれ、少し話をしていたらいきなり予想外の事を言われ、思いっきり眉を顰めた。

太宰「嫌かい？退屈かなーと思ってね」

いえ...とは呟いたものの自然と興味はなかった。普通は興味を持つものなんだと思うけどここに来てから1回でも外に出たいと思ったことはなかった。

太宰「出たいと思わないのかい？退屈だろう？」

A『...そんなに』

でも断るのは嫌だと思い、迷った結果自分の意思を押し通し、そう答えた。でも太宰さんは

ほらおいでよ。そう私を抱き上げ私の居た部屋から出た。

隣の部屋に入った瞬間に嫌だ。そう思った。出たいか？そう聞かれたらむしろ出たくない。そう即答で答えられると思うほど、出たくない気持ちが勝っていた。

嫌、嫌...そう心の中で呟いたが声には出せなかった。それに、出るって言っても扉を開けて部屋の外の様子を見るだけだろう。我慢しよう。そう思い目を強く瞑ったがその時に

「部屋からは出ちゃいけないよ」

と、パパから強く言われたのを思い出した。

パパとの約束は破れない。1回破ってしまったからこそ次はない。そう思い、弱々しく小さな声だったが

A『嫌...パパと約束したから。』

しん、と静まり返った。私しかいないように私だけの呼吸が聞こえた。

太宰「お父さんの言うことはちゃんと聞くのだね。」

そう言うと私を下ろした。今の太宰さんの言い方に少しむっ、と思ったが特に気にはしなかった。

偉い偉い。と呟くと私の頭を撫でた。パパ以外に撫でられたことがなかったので体が勝手に強ばってしまったが、嬉しかったのもあり私は笑みを浮かべた。

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