買われました【文スト】

かわれました ページ1

Aside

逃げて









逃げて









逃げて









逃げた。

あのままあの家に居たら殺される。

そう、何となく感じた。

色んな人に買われ、色んな人の家に身を置いた私だ。まだ幼い私だがその辺のフラフラしてる情けない大人よりは、頭が切れ、行動力もあると思う。

正直、死にたくないわけじゃない。

でも、あんな人に殺されるのは嫌だった。

だからまた、私を売ったあの人の元へまた帰った。

「おめェ...何度帰ってくるんだ。」

もう無理だ。他の奴でも当たれ

そう言われ、その後は私のことを1度も見ず、作業をしていた。その姿に私は背を向け、歩き出した。

いつからこんな生活が始まったんだろう。もう、限界かもしれない。

私を産んだ女は私を捨てた。

私を作った男も私を捨てた。

今ソイツらが何をしてるのかも知らないし、生きてるのかだってわからない。

何がわかるのか。そう聞かれたらなんだってわからない。声も、性格も、顔すら覚えていないのだから。

きっと産まれてすぐ私を捨てたのだろう。

私には何もない。家族も、友人も、頼れる人も、大切な人も。

何も持ってない。中身すらない者なんだから。

名前すらもなくて

家族の愛というのはわかる。今まで嫌ってほど見てきたから。

でも、誰も私に愛なんて与えてくれなかった。

こんな人生にもう希望なんてなかった。








背後から車の音が聞こえ、すっとさりげなく振り返った。

後ろのスペースには沢山ものが詰めそうな大型のトラックだ。

トラックは通り過ぎ、私を少し越したところで停まった。

A『...またか』

私が小さく呟くと、バタン。と音を立てていかにもな男が出てきた。

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