長男要らない説【松】

4 no side ページ7

全員ほぼ同時に目覚めて、
Aが一番最後に目覚めた。

十四松は殴られただけだったため、
皆より目覚めるのは早かった。


Aは目覚めた途端、
おそ松に思いっ切り殴られた。

いきなりの事で、Aは避けられなかった。



「いっ.........！？ え、何」
「とぼけんじゃねえ！！！ っざけんなよてめぇ、今すぐ出て行け！！！」



力の限りおそ松が叫ぶ。
Aは何の事かわからず驚く。



「は..........え、待って、なんで」
「..........兄貴、さすがにあんまりだろう」



カラ松がAを蔑む。
助け舟を求め、Aが十四松の方を見る。
十四松は無言で目を背けた。

嘘でしょ、とAは絶句した。


「待ってよ、まだA兄さんがやったって決まった訳じゃ」
「はぁ！？ じゃあ他に誰がいんだよ、本人が自分で動いたってのに！！」
「いやだからっ、それはわかんないけどさ！！ でも兄さんがあんな事するわけないじゃん、落ち着けよ！！」


チョロ松がAを庇うが、
おそ松と口論になってしまっていた。



「.............失望した」



一松がAを睨みながら言う。
四男に、弟達に初めて罵倒され、
Aはズキッと胸が傷んだ。



「ハッ、まさかもう一つの属性隠し持ってたとはね。最低だよアンタ」
「ちょっ、一松兄さん！ 言い過ぎだって」
「うるさい。何、トド松は兄さんの味方なわけ？」
「はぁ？ 兄弟に味方も何も無いでしょ！？」



一松とトド松も言い合いになっていた。

Aは何がどうなっているのかさっぱりで、
混乱してしまっていた。


「もうっ、兄さん達落ち着いてよ！！ 冷静になって！」
「黙ってろトド松！！」


おそ松がトド松を怒鳴りつける。
息を荒くして、一度咳き込み
おそ松がAと向き合う。


「お、おそ松、俺何かした.........？」



全く以て身に覚えが無く、
Aはオドオドしながら笑って問う。

それに腹を立て、
「また誤魔化す気かコイツは」
そう思ったおそ松は我武者羅に叫ぶ。



「ふざけんなよッ！！ もうお前なんか出て行け！ こんなクソ長男なんざ要らねえよ！！」



Aはその言葉に酷く傷ついた。


おそ松が、戦いの疲れもあり、
また苦しげに咳き込んだ。

言い返す言葉が見つからず、
おそ松を見て「..........ごめん」と
言って乾いた笑みを浮かべ、
そのまま家を出てしまった。





この間が、Aの知る
さっき起こった出来事だった。



三日前の事は、
本当に記憶が無かったのだ。

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