それぞれの恋愛模様たち (ページ19)

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遡ること１０年。

この時は、新卒の初々しさが印象のほとんどやった。

『横山さん、好きです！！』

忘年会で告白された時は、なんて答えてあげるのかが正解なのかがわからなかった。

だから、この時は、

横山「え。俺、彼女おるし。ごめんなさい。」

素っ気ない返事をしてしまった。

あ。

マルのとばっちり食らって泣きべそかいてたこともあったな。

あれは、水産加工の松岡さんとこ。

『横山主任...話が違うって...私、松岡さん、怒らせてしまいました。ど、どうしたら良いですか？(泣)』

横山「見積りがちゃうってことか？マル？松岡さんとどんな話してん？」

丸山「え？大して普通やで？ここをこの金額と...あ。本当はオプションだけどサービスするって言いましたわ...」

横山「それ先言えよ。マルがちゃんと伝えんから、松岡さん怒ったんやろ。」

丸山「もももも、申し訳ないです！！！！！！」

横山「...わかった。今回はその見積りでええから。一件、俺が請け負うわ。るびぃ、松岡さんとこ行くで。」

『今ですか！？(泣)』

横山「俺もおるから。任せろ。」

松岡さんは、俺の顔を見るなり、
おぉ！ヨコ！相変わらず、ロシア人みたいな顔してんな！(笑)

って、歓迎されて、
サービスする旨の話が抜けていたと詫びたら...

松岡「やっぱ、忘れてたんだろ？」

横山「ホンマ、すんませんでした。」

そう言って菓子折りを渡す。

横山「この菓子、知ってます？」

松岡「いや、知らん。」

横山「これ、北海道の菓子屋なんすよ。ほら、お土産の定番の。」

松岡「おぉ！あれか！」

横山「ご出身、札幌やって聞いてたから。ホンマはそれこそ札幌まで買いに行きたかったんやけど、梅田で売ってるって知って買ってきました。むしろ北海道では売ってない限定バージョンらしいっすよ。」

そこからはすっかり上機嫌になった松岡さんは、
ついでにともう１つ注文すると言い出して、
商談がトントン拍子で進んで行った。

松岡「お嬢ちゃん、さっきは怒鳴って悪かったな。おいヨコ、丸山にはキツく言っとけ。」

横山「わかりました。」

帰りの車中、安心しきったるびぃは会社に着くまで助手席で夢の中だった。

俺は、起こす前にるびぃの頬に付いた涙の跡をそっと拭った。