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第6話 フィクションなんかじゃない
重岡side
小瀧「なんてきれいな姫なんだ。と、王子様は白雪姫の亡骸にキスをしました。すると、喉につかえたリンゴが落ち、白雪姫は生き返ったのです。」
突然現れた智洋くんに連れられて、
俺は小瀧先生の家で白雪姫を読み聞かせてもらった。
小瀧「生き返った白雪姫は言いました。“まぁ、私はどこにいるのでしょう?”すると、王子様は答えました。」
智洋「王子は何て答えたん?」
小瀧「ふふっ。王子は言いました。『私の傍に居るのです。』」
智洋「ひゃーー!!めっちゃキュンキュンする!なぁ?しげ!」
重岡「うん!」
今までに、こんなに心臓が高鳴ることがあったやろうか?
智洋「なぁ、次はみにくいアヒルの子読んでや!しげ、好きなんやって。」
小瀧「ちょっと待ってなぁ?どこにあるかなぁ?」
重岡「……?」
あったやろか?
重岡「なぁ、智洋くん?」
智洋「しげ?」
重岡「君は、俺の何を知ってるん?」
智洋「何って、言われても……」
重岡「俺って何なん?何で智洋くんは、俺は白鳥やって言ったん?」
なぁ、智洋くんって何なん?
智洋「しげは、俺の本当のお母さんやから。」
重岡「え?」
小瀧「神山くん?それ、どういうこと?」
智洋「俺は元々、中間淳太って養父に育てられた。
けど、パパはこの町に呪いを掛けとった。
その呪いを解く鍵が俺の本当のお母さんやった。
やから、しげの誕生日に大阪からこのストーリーブルックに連れてきた。
大阪には横山さんって本当のお父さんがおったけど、
この町で亡くなった。
呪いは全部溶けてへんのに、あの町長さんは、
この町を乗っ取ったんや。
みんな、あの人を俺のお母さんって言うけど、
俺とは縁もゆかりも無いんや。」
かける言葉が見つからなくて、
冷蔵庫のモーター音だけが部屋に響いた。
小瀧「な、なぁ?神山くん?いつの間にそんなフィクション思い付いたん?」
智洋「嘘やない!どれもこれも、あの町長が仕組んだんや!……せや、ICUの患者さん見た?あの人は流星っていって、小瀧先生の……白雪姫の王子様や!!目覚めたら、何か知ってると思う。」
智洋くんの言葉には、好奇心と恐怖が紙一重で、
下を向くことしかできひんかった。
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作者名:るびぃ | 作成日時:2023年1月22日 21時