もう一人の、人斬り。【るろうに剣心】(加筆・修正中) (ページ7)

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第一話　平和と異変　漆。ページ7

聞いたAは、呆気にとられているかのように動かなくなった

(父さん？……まさか、殺し損ねて……いや、……ううん、そうじゃない――――)

「……そ、そうなんだ、あははっ……殺してやればよかったね……、」

私は失笑した。俺は笑う目の前の女を見て、至極呆れの情をもった。

「そうすればお前は希望を抱くことなど何もなかったんだ……、あの憎き存在をつぶせば、だれも希望を抱かなくなる、かつて、私がそうされたように！！」

俺は疑問を感じせざるを得ない。「あの憎き存在」とはなんなのか。

俺は彼女のその声を聞いて、逃げ出すことが出来る好機だとみて、逃げ出そうと動いた、途端――――

「逃げんなっ！！」

彼女は俺に向かって刀を投げた。
「は…！？」
その刀は俺に当たるか当たらないかという絶妙な場所に刺さった。

「……あ、ぶっ、な、いだろ……はあ、はあ、――――ぐっ」

彼女は怒りを堪えるかのように、俺に切っ先を向ける。

「な、な、ん、だ……」

俺は彼女の顔をみようとするが、外がくらいせいなのか、表情は見えなかった。変わりに見えたのは、涙。

そして、

「――――嫌だ」

堪えられないような声色。

「は？？」

月は雲に隠れていた。

いつの間にか、月の明かりは見えなくなった。ものすごい暗闇の中、彼と彼をしとめる捕食者が、対峙する――――……。

彼女は死ね、と何度も刀を振り上げる。それが何時間も続く。俺の体はあのときの戦いのおかげか、傷だらけで完治していない。
そして俺の体から血が出た途端、彼女は狂ったように笑うのだ。

血に汚れている俺を、見ていないようで見ているその瞳の奥はあり得ないほどに淀んでいて。

「あははははは―――― いい気味ね！！」
そういったあとすぐに心臓を突き刺した瞬間――――彼の絶叫とともに深紅の雨が降ってきた。

「ふふっ。さようなら。それにしてもあの時剣心(アイツ)が巴を殺してくれて、手間が省けたわ」

私はにこやかにそう告げる。この私に殺されるだなんて、贅沢よね？なーんて思う。

「……、次、……東京ね。町人っと。任せておいてください、東条様」

あいつって誰だ、……そもそもお前は、誰だ？？血がどんどん流れていく、意識が薄くなっていく俺が思ったのは、こいつの素性について、だった。

「おま、えは、誰、だ」

かすれ声でそう言った。彼女はとても甘めの声で「ん？？」と言ってきた。俺がもう一度おまえは誰だといえば。