もう一人の、人斬り。弐。【るろうに剣心】 (ページ5)

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第四話　行方と恋愛事情？？　拾陸。ページ5

そう言って、俺は寝ているAの額に軽く口づけた。
「直接言わないとやはり意味がない、な。とりあえず。神谷道場に戻るでござろう。」
そう言って、Aを抱え、恵さんたちがいるであろう部屋へと向かった。

(な、なになになに！？今の！？告白！？こくはくなの！？)
さっき彼こそ、緋村剣心に言われたことに現実味がわかないまま混乱しているこの人はAA。実花(みか)にはそんな様子のAをにやにやしながら見ていて、「おあついですねえ。」と言われる始末。もういやあと、みっともなく叫びたい気分だった。推測するに私は告白されたのだと思う。ついでにおでこに接吻というか口づけしやがって。どうしてこのように慌てふためいているのかというと、その告白の直前に目が覚めてしまったため、全部聞いてしまったのだ。現在は彼に横抱きで抱えられながら、どこかに連れていかれている。頑張って動かないでいたら、まさかの口づけ。あなたこういうことする人じゃあなかったでしょう！？はあ。と心で溜息を吐く。よし、とりあえず起きよう。それらしい声を出せば、わかるだろ。
「……ん。」
「……起きたか。」
そういわれてゆっくりと目を開けば、愛しいものを見るかのような笑みでAを見ている緋村剣心(この人)の顔がある。
かお。か、お……。笑みが、なんとなく色っぽいような……。そう思っていると、
「はは。お前の顔赤いぞ。」
そういって軽く笑われる始末。誰のせいですかって！！あなたのせいですよ、あなたがあんなこと言うからです。
ーー俺、はお前が好きだ。
なんだか恥ずかしくてイライラするから、怒りながら言ってやった。別に私悪くないもん。そう自信満々な誰かさんに対し、実花は、つまんないと言いたげにつれないね。と表のAに向けて言ったのだった。
「あんたのせいよお！！」
「おろ？？」
「と、とぼけんなあ！！」
心底薫に似てきたな。今だったら薫になれるかもしれない。なに変なこと言ってるんだと同時に感じたが、見なかったことにしよう。
「な、なぜおこっているでござるか！？」
「しらない！自分で考えろ、このど阿呆！！」
わざとつれないふりをする。気づかれないように表情を伺えば、彼は呆けたような声を出し、情けない顔をしていた。
ああいう顔させるあんたが、カッコよすぎるのが悪いんだから。覚えておきなさいという思いを心に秘め、ぎゅっと自らの手を握りしめた。