もう一人の、人斬り。弐。【るろうに剣心】 (ページ33)

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執筆中。ページ33

意識上でしかみることが、聞くことができなかった意志が通っていた。なんだか、泣きたくなった。今になってわたしはなんてことをしたんだって。思って。涙が、ポロポロと溢れた。止まらない。
「ああ……。拙者は左之ではないでござるよ。」
「……ひ、むらあ、ごめん、なさいっ……っ、わ、たし、薫を、……さ、の、くっ…すけ……っ、を……くっ……き、ずっ、つけ、た！！」
「いや、お前のせいじゃない。そんなに思い詰めるのはよすでござるよ。悪いのはあそこにいるお前の上司、でござろう？？」
「っ、でも！！」
「でもじゃない。お前だって傷つけたくてやったわけじゃないだろう。」
「……うん。」
「意識がなかったのだから仕方がない。」
「ごめんなさい、ありがとう。」
そういうと彼はわたしの肩に顔を埋めた。なんなのかと身構えれば。ぎゅっと締め付けられた。
「！？ど、どうした！？」
予想外のことで緊張した声になる。
「……生きてた、よかった……生きてて、よかっ、た……。」
彼は泣いていた。私は彼の背中に手を回した。その様子を見ながら周囲の仲間がホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、「またか！またなのか！？」という声がギンギンと響いた。
「失敗するのか！？おのれ、菜穂めえ！！」
「はっ、私のせいなんですか？？頭、イカれたんじゃないです？？」
「黙れ小娘」
激昂する首謀者をにやにやしながら菜穂は見る。
「はっ、黙れ？あんた何様」
そう口を開いた菜穂は至って真面目だ。その様子を見ながら、剣心とAはこそこそと話す。東条はまだやるつもりなのでござるか……。と剣心が口を開けば、Aはうん、とだけいい、じっと観察するように目の前を見つめる。その間にも、東条と菜穂の言い合いは収まる気配はない、いやもはや勢いは増していくばかりでーー。その後も剣心とAは色々話すが、その話が途絶えた。途絶えと切り札となったのは、Aが慕う上司、東条様……東条英機が菜穂の頬を平手うちした音だった。そのあと聞こえた声はーー
「さっきから何様だ。」
腹から湧き出たような恐ろしい声だった。菜穂はまるで想定内というかのように、その怒声を受け流したあと、東条の胸ぐらをつかむ。
「お前が言ってんことは全部、想定内なんだよっ、ふははっ！だからさあ、お前がおかしくてさあ。」
東条英機は咄嗟のことで反応できなかった。部下がまさか胸ぐらを掴んでくるとは。何を言うのかと思えば彼女は恐ろしく笑って自分を見ていた。