もしも……………… 2nd

α8 黒木君の内緒ゴト ページ22

「たまにはいーかなって。こういうのも」

「ウソつけ。それだけじゃないだろ」

黒木君はちょっと黙って、申し訳なさそうに伏せていた目をこちらに向ける

「実は…………聞いちゃったんだ」

…………………へ？

「アーヤがスタバで、友達と話してたこと」


…………………………

「えぇ！？」

衝撃の一言に、長年出していなかったであろう大声が出てしまう

「う、うそ…………」

「嘘じゃないんだ、残念ながら」


え、え……………！！

あのとき私、なに言ってた？
なんかすごいこと口走ってた気がする…………！！

皆には決して聞かれてはならない、なんかスゴいこと………………！！


“1人じめしたいの。私しか知らない皆で、いてほしいの”


……………………………やっ……………てしまった…………



「ごめんね？」

「いや………いいです……………もう………」

「聞いてて、思ったんだよね、そのお願い、もう叶ってるのに、って」

「………………え………」

「俺らはいつになっても、どんなときでも、アーヤの知ってる俺らだよ。
むしろ、アーヤはヤキモチ妬く方じゃなくて、妬かれる方だと思うよ。

知らない女の子とか、に」

その一言で、私の目にはまた、涙が滲む


あのときの不安な気持ちが、疼いて堪らない

いかないで
いかないで

心がそう、叫んでいる

「ほんとう…………？」

声が震える

顔なんて上げられない

分かるのは、涙が頬を、つたっていくことだけ

「ほんとに、ほんと……………？」

黒木君の、あたたかい声が聞こえる


「ほんとだよ」


大きな手がのびて、私の頬を包む

そしてそっと、涙をぬぐった


「アーヤの知らない俺たちなんて、俺たちじゃないよ」



黒木君の、やけに優しい笑顔が、心に沁みていった

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