守りたい【煉獄杏寿郎】

ニ頁 ページ4

泣き止まない男の子とオロオロと狼狽る私を見兼ねてか、

「うむ！彼女の言う通り、安心したまえ、少年。家まで送って行こう！」

炎を纏うように暖かいその人は、泣いている少年にニッと笑いかけ、家まで促す。

男の子を家に送り届けると、私は傷が痛み出したのが分かった。

先程までは男の子を安心させるために、自分が守らなければという使命感で動いていたため、痛みは感じなかった。

_______怖かった、自分はこれで死ぬのだと思った。


ふうーっと息を吐き、心を落ち着かせて助けに来てくれた彼を見る。真っ直ぐな目は吸い込まれそうになるほど綺麗だ。


「先程はありがとうございました。階級乙の愛月Aと申します。失礼ですが、お名前を教えていただけませんか？」


「俺は炎柱、煉獄杏寿郎だ！愛月、よく耐えたな！」


彼はそう言うとまた、大きく笑った。


「…！ありがとうございます、煉獄さん」


彼の笑顔を見ると、たった今実感していた恐怖が一瞬にして消え去った。

この人の笑顔は何て安心するのだろう。


「俺はまだ任務がある！気をつけて帰るように」



そういうと風の如く走り去っていった。
速かった、走るのも勿論、先程の剣捌きも目に見えない程速かった。


強くならなければ、もっと。
私はまだ弱いままだ、追いつきたい。



悔しい、強くなりたい。


初めに煉獄さんに抱いたのはこの感情だった。

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