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太智「で、どうするつもりなんだ?」
変装の為に奪い取った近衛兵の服を脱ぎ捨て、自分たちの背中袋にしまっていたローブを羽織り、太智は地面に落ちていた木の枝を拾い上げると、雷を何度もスパークさせて火花を起こしていた。
その火花が枝の先を真っ赤に染めていく。
やがて炎が立ち上り、松明となった。
太智「よっしゃ…!やっと点いた…。はぁ、こんな時、舜太がいてくれればなぁ。もっと楽に炎が付けられたのに…」
こんな時、いつもの仲間のありがたみがわかる。
舜太がいれば炎なんて気にしたこともなかった。
琉弥がいれば大抵の怪我も毒も気にしなくていい。
勇斗がいれば酸素が薄い場所や、酸素がない場所だって気にしなくていい。
瑞生だったらこんな時、変な冗談を言って場を和ませてくれただろう。
そして、仁人だったらとびっきりの作戦でこの状況を打開してくれただろうな…。
思えば、この七人、誰が欠けてもここまで旅を続けることなどできなかった。
きっと、誰が欠けても、駄目なんだ…。
太智「皆…」
太智は自分の腕に巻かれた七色の腕飾りを見つめながらつぶやいた。
柔太朗「"おセンチは、ナンセンス"だぞ、太智」
すると、自分のローブに着替え終わった柔太朗が、そんな太智の肩に手を置いた。
太智「柔太朗…」
柔太朗「こんな時こそ、あいつらのためにいつもの馬鹿元気を発揮してくれ」
太智「ば、馬鹿元気って…。わかったよ…!で、で!?どうするつもりなんだって聞いたの!」
またもや太智の声が反響して聴こえる。
柔太朗「この地下空洞、かなりの広さがあるのがわかるか?」
太智「え?いや、そんなのわかんねえよ」
柔太朗「お前の声が何度も反響して、幾重にも聞こえる。それは、つまりこの空間がかなり奥まで続いていることになる。そして、これは感だが…この地下空洞はこの王宮の敷地内全体に広がっている」
太智「…で、それがどうだって言うんだ…?」
柔太朗「この縦穴、そしてさっきの正門から、
太智「え?な、何だよ!ちゃんと教えてくれよ!」
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年11月18日 16時