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これでこいつの能力の一端を封じることができた。
後は、あいつらがなんとかしてくれる。
今度こそ…これで…いいんだ…
俺の役目は…これで…終わった…
勇斗は、震えるその腕をゆっくりと空に向かって伸ばしていく。
スロース「まだ何かする気なの…?!」
なぁ、仁人…
俺…これで良かったんだよな…
瑞生…
俺…間違ってないよな…
舜太…
俺…正しいことしたよな…
琉弥…
俺…無駄なことなんてしてないよな…
なぁ、太智…
教えてくれよ…
頼むよ、柔太朗…
何か言ってくれよ…
これで...少しは...
誰か……
何か…答えてくれよ…
ズタズタに切り裂かれ、肉は削がれて所々骨の見えるその腕を、まるで助けを求めて誰かの手にすがるように天高く伸ばした。
誰か…最期に…この手を取ってくれるかな…
こんな…汚れた…俺の…手を…
……
しかし、その腕は誰の手を取ることもなく、
そして、それから何度その体を蹴ったり踏んだりしても、二度と勇斗が動くことはなく、ただ空から降り続く雨の音が響き、雨が辺り一面に勇斗の血を広げていった。
スロース「ふぅ…ようやく動かなくなったねー…化け物め…。でも、これが君の言ってたやるべきことだったのー…?」
血だまりに浮かぶ勇斗にそう尋ねるが、彼はもう何も答えない。
スロース「何て言うか、人間って哀れだよねー…。たったこれだけの為に、こんなみっともない姿になっちゃうんだからさー…」
刃が錆び落ちて
スロース「まぁ、なんだか可哀想だからこれで終わりにしてあげるよー…」
そう言って、スロースは勇斗の体を足で転がして崖から突き落とし、勇斗の体はそのまま崖の下に流れる川の中へと消えていった。
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年10月28日 19時