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勇斗「お前の考えてる通り、あの村は俺が生まれ育った場所だ。そして見事に俺の家も焼けて何も残ってなかったよ。家族も皆、何もかも…」

顔は笑顔のままだったが、少しうつむいてそう話す。

勇斗「まあ、両親は俺が小さいころに冒険先で事故で亡くなってるから、家族って言っても住んでるのは婆ちゃん一人だったけど…。それでも俺の家族には違いない…」

仁人「勇斗…」

仁人は申し訳なさそうな表情を浮かべた。

勇斗「そ、そんな顔すんなよ!…まぁでも確かに、何でって思うよ。何で婆ちゃんがこんな目にって…。何で…側にいてやれなかったんだろうって…。でも、きっと俺に(ばち)が当たったんだと思う…」

仁人「え…?」

勇斗「"罪"には"(ばつ)"が下るもんだ。魔王に操られて、柔太朗の家族や仲間を奪ってしまった(ばつ)が…。そう考えると、案外この世界は平等にできてるのかもな…」

そう言うと、勇斗は川辺の草むらに座り込み、仰向けに寝転んだ。

勇斗「はぁ…。最強の力なんて言われてるけど…どれだけ強い力を持っててもさ、その力が誰かを傷つけることもあるし、手が届かなかったら何も守れないんだよな…」

勇斗は自分の右手を空に伸ばし、手の甲に輝く桃色の印を見つめる。

勇斗「神のじいちゃんも言ってたっけ…。強い力には代償も付きものだって…。別に、俺が望んで手に入れた力ってわけでもないのに…。さっきも、魔王に操られてた時がほんとの俺じゃないのか、なんて言われるし…。はぁ…ほんと…嫌になるぜ…」

言い終わると、ハッとなって仁人の方へ体を起こした。

勇斗「いや!今のは違う!別に勇者が嫌とか、お前らが嫌とか、そういうんじゃなくって、なんていうか言葉の(あや)って言うか!」

仁人「ふっ…ふふ」

しかし、意外にも仁人はそんな焦る勇斗の顔を見て少し微笑んだ。

勇斗「え?!今の笑うとこ?!」

仁人「いや、すまない。悪気があったわけじゃないんだ。ただ、勇斗もそんな風に弱音を吐くんだなと思って」

勇斗「な、なんだよそれ。これまで俺をどんな風に思ってたんだよ」

すると、仁人は勇斗の隣に腰かけ、同じように仰向けに寝転んだ。

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設定タグ:M!LK , 勇者   
作品ジャンル:ファンタジー
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年10月7日 16時

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