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登山中は、困難な道のりであったはずだが、下山の際は難なく霊峰を下りることができた。
その際、仁人と柔太朗は、瑞生がいなかった間のことを話して聞かせていた。
瑞生「そうか…。柔太朗と勇斗、よかった…。ちょっと心配だったんだ」
仁人「勇斗も、瑞生を見たらきっとすぐ良くなるだろう!舜太と琉弥も喜ぶぞ!」
柔太朗「それにしても、瑞生のローブ…」
瑞生が羽織っているローブ、それは何とも不思議な色に見えた。
元々、鮮やかな夕焼け色をしていたはずだが、今は見る角度によって様々な色に変化して見える。
瑞生「あぁ、これかい?僕にもよくわからないけど、黄泉の世界を彷徨った影響かもね。僕の水晶玉もご覧の通りさ」
そう言って取り出した水晶玉も、瑞生のローブと同じように、光の加減で色んな色に見える。
それはまるで、鮮やかな玉虫の羽の色や、オーロラの色のようだ。
瑞生「夕焼けの時間がさらに進んで、黄昏時の、赤やオレンジや黄色、それに黒や青や紫…たくさんの色が混ざり合った時の色みたいで、僕は結構気に入ってるんだけどね」
仁人「黄昏…薄暮というやつか…。では、夕焼けのハニカミ勇者改め、黄昏のハニカミ勇者ってところだな」
瑞生「ふふ、まぁ、好きに呼んでよ」
柔太朗「お、もうすぐ村が見えてくるころだな」
この木々を抜けると、黄泉の霊峰の麓にある村が見えてくる。
しかし、彼らの目に映りこんできたのは、驚くべき光景だった。
村にある二階建ての大きな宿屋。
その半分がボロボロに崩れ落ち、崩壊していたのだ。
仁人「や、宿屋が…!!」
柔太朗「中には勇斗たちが…!!」
瑞生「どうやら、感動の再会、とはいかないようだね…」
三人は急いで宿屋に駆け込んでいった。
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年8月22日 18時