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勇斗「まぁ、慌てても仕方ないし、ゆっくり考えようぜ。それより見てみろよ、あの客」
すると勇斗は、仁人と舜太にしか見えないように指差しした。
仁人と舜太はその方向を見る。
その視線の先では、一人の男が店の料理を食べているのが見えた。
一見すると普通の光景だが、その男に関しては異常にしか見えない。
山のように積まれた空の皿の上に、また一枚、また一枚と食べ終えた皿を積み上げていく。
仁人「世の中にはすごい人がいるもんだ…。見てるだけで胸焼けしそうだな…」
勇斗「いや、でもあれは食いすぎだろ…」
その量は軽く二十人前は超えている。
店主「お客さんまだ食べるんか？お代は大丈夫なんやろな？」
その客は軽くうなずくと、店主に新たに注文をした。
店主「ひええ、こりゃたまらんわ…」
そう言うと、店主は新たに料理を作るため、厨房に戻っていった。
男は何も言わず黙々と食べ続ける。
仁人「あれはいくら何でも異常だ…。それに見てみろ。先ほどからあれだけ食べているにも関わらず、腹が全く膨れていない」
勇斗「それに、物理的にあの量は入らないだろ…」
二人は立ち上がると、その客の前に立った。
勇斗「おいあんた、もうその辺にしとけ！それ以上食べると体壊すぞ？！」
仁人「それにこの量じゃ、料金も相当だ。払えるのか？」
しかし男は食べ続ける。
勇斗「お、おい！やめろって！」
勇斗がその男の手をつかんだ、その時。
男はものすごい力でそれを振りほどき、勇斗は軽く吹き飛ばされてしまった。
そして、男は何事もなかったかのように食べ続ける。
勇斗「て、てめえ何すんだよ！聞いてんのか？！」
店主「ちょ、ちょっと店ん中で揉め事はやめてや〜」
舜太「あ！だ、大丈夫やでー！」
勇斗は今にも、客の男に掴みかかろうとしていた。
仁人「待て勇斗、あの客の首筋！」
仁人は男の首筋を、右の人差し指で指差した。
勇斗「なんだあれ…」
そこには、何やら黒い文字が刻まれている。
「罪」
そうはっきりと、その男の首筋に浮かび上がっていた。
仁人「ま、まさか…」
勇斗「七つの大罪…？！」
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作者名：milkssss | 作成日時：2019年8月5日 16時
