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席に運ばれた、レモンけえきとイチゴぱふえを、仁人と勇斗は物珍しそうに眺めた。
店主「このお客さんたち、舜ちゃんのお友達か?」
舜太「うん!大事な勇者仲間なんさ!」
店主「勇者?!君らが?!そうかそうか!お二人さん、舜ちゃんと仲良くしたってや!」
店主にそう言われ、二人は笑顔で答えた。
店主「それより舜ちゃん。今度、包丁新しい奴買ってきてくれへん?この包丁、最近切れ難くなってきてな」
舜太「あぁ、ええよ〜!今日バイト終わったら買ってくるわー!」
店主「頼むわ!ほだら仕事に戻るで」
仁人「あの人は?」
舜太「この店の店主さんで、いつもよくしてもらってるんさ。俺が勇者として初めて旅立った日も、お菓子の詰め合わせ、いっぱいくれたっけ〜」
なるほど、あの時の大量のお菓子はそういうわけだったのかと、仁人は一人感心していた。
そして、仁人と勇斗は運ばれてきたレモンけえきとイチゴぱふえを頬張り、舜太に事の経緯を話して聞かせた。
仁人「と、いうことなんだ。うん、このけえきとかいうやつ、甘さ控えめで美味いな」
舜太「他の皆はー?」
仁人「この村に来る前に、太智の村には寄ったんだが、留守だったんだよ…。なんでも一人旅に出掛けたとかで。その他はまだわからないな」
舜太「そうなんや!はぁー!でも、また皆で旅できるんかー!ワクドキ止まらへんわー!」
舜太は目をキラキラ輝かせている。
仁人「ふふ、舜太も相変わらずだな。少し安心するよ」
勇斗「ほんと、ほんと!」
舜太「ホンマに?俺も二人に会えて嬉しいわ〜。でも…」
すると突然、舜太は顔を曇らせた。
勇斗「どうした?」
舜太は、この店で立て続けに起こった食い逃げについて二人に話した。
舜太「そりゃ、七つの大罪とか世界の危機に比べたらちっちゃいことかもしれんけど、ここは俺の村やし、この店にはいつもお世話になってるし、ちょっと心配やねん。だから今すぐに出発っていうのは…」
仁人「そうか…。うむ…」
仁人は食べにくそうに何度も皿の上にレモンけえきを落としながら、なんとか全て食べ終えると、右腕で頬杖をついて考え込んだ。
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年8月5日 16時