01 ページ1
特別な物なんて何もなかった。
何もかもが等しい価値で、そこになんの思い入れも愛着もなく、
切り捨て、切り捨てられ、
それが当然かの様な世界で生きた。
それが、当然だった。
・
春の陽気の漂う空。
頭上を泳ぐ白鯨が、サンサンと輝く光を遮りながら過ぎていく。
風に吹かれるのが好きだった。
何にも縛られないまま、気まぐれに過ぎ去っていくものだから。
頬を撫でて、髪を乱らせて、ひゅるひゅると笑い声を立てながら走る。
叶うものなら
風に、なりたい。
寝返りを打ち、うつぶせになる。
顔の下で組んだ腕に、ひんやりとしたコンクリの冷気が伝い、まどろみの中から引っ張り上げようとしてくる。
眠気の波の中で抗いながら、不意に感じた。
どこからか響いてくる軽やかな足音。
(10、9、8、)
タッタッタッっと、羽が生えているかのような軽いリズム。
(7、6、5、)
いつも、彼女は楽しそうに走る。
(4、3、2、)
ひまわりのような笑顔が、浮かんだ。
(1、)
0、と同時に、屋上の古いドアがきしみながら開く。
「みっけ」
ひょっこりと顔をのぞかせた彼女は、いつもの笑顔で、笑った。
7人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
加奈 - あやちゃん、どんな顔してるんかな?あいたいな。 (2020年3月4日 13時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 黒木〜! (2020年3月4日 13時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
花畑(プロフ) - 優愛さん» 返信遅くなってしまってごめんなさい。コメントありがとうございます。黒彩、私も大好きです(^^) (2019年1月3日 0時) (レス) id: a28dd52497 (このIDを非表示/違反報告)
花畑(プロフ) - tamanyan さん» 返信大変遅くなってしまい申し訳ないです。応援の言葉ありがとうございます。近々、時間が取れ次第更新する予定です。 (2019年1月3日 0時) (レス) id: a28dd52497 (このIDを非表示/違反報告)
優愛 - ヤバい!おもしろい!更新楽しみにしてます!黒木×彩!もう大好物ですよ〜 (2018年9月26日 5時) (レス) id: e2992bba0e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ