検索窓
今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:4,385 hit

13ページ From:私 ページ14

私達を乗せたバスは更に進む距離を延ばしていく。
テ「あ、剣持さん!あれ!」
『え、何?』
端の座席に座って窓の景色を眺めていた私は、
テラゾー君のその声に反応する。
テ「ほら、あそこ!虹が出来てる!」
『…本当だ。』
途端にブレザーのポケットからスマホを
取り出して、その風景をカメラに収めたテラゾー君。
テ「ぽず君も見たかな。もし見てなかったら自慢しよ。」
何だか子どもみたいだな、この生徒会長。
う「確かにさっき、ちょっとだけ雨降ってましたしね。
通り雨だったのかな?」
テ「そう言えばうばまろ君。
いつも一緒にいるお友達は来なかったの?」
う「はい。一人はサッカー部の遠征で、
一人は放送部の代表として行く発表会の準備で。
後の二人は学校に残って補習だそうです。」
テ「あら、それは残念だ。」
テラゾー君の前に座る二年生の子が、彼と言葉を交わす。
私も前に座っているスナザメ君に話し掛けてみる事にした。
『ねえ、スナザメ君。今の虹見た?』
ス「あ、はい。普段はあまり見ないから驚きましたよ。」
同い年なのに敬語を使って話してくる彼。
でもテラゾー君と話す時はタメ口なんだよね。
まあ彼の場合は、テラゾー君以外には敬語で話している様で。
前に聞いた話で、彼ら二人は高校の同じ
ゲーム研究会に身を置いていた間柄なんだって。
『…。』
ス「…。」
駄目だ、会話が続かない。
そう思っていたら、隣が助け舟を出してくれた。
テ「ねえ、ヴィジュアル系アナログゲーマー君。
俺V系の曲とかバンドって良く知らないんだけどさ、
初心者にも聴けそうなのってあるの?」
スナザメ君はうーんと唸ってから、口を開いた。
ス「アニメの曲を歌ってたJanne Da Arcと
PENICILLIN辺りは入りやすいと思うよ。
雰囲気に慣れてきたらメガマソとかガゼット、
後は王道だけどMALICE MIZERもお薦めかな。」
『あ、知ってる。月光花とロマンスだよね?』
ス「そうです。と言うか剣持さんって
アニメ見るんですね。ちょっと意外です。」
『勉強の息抜きとして見てるだけだよ。』
良い感じに気が抜けるから好きなんだよね、アニメ。

前の方の席をちらりと見てみる。やんわり先生が座っている席だ。
その真後ろの席の子…poez君から
何やら黒地に赤文字の袋を手渡されている。
良いなあ。私も何か先生にプレゼントしたい。
でも何を贈れば良いのかな。
私はポケット越しに例の手作りハンカチを撫でた。
と、目的地に着く前にバスが止まる。
サービスエリアに着いた様だ。

14ページ From:俺→←12ページ From:俺



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.6/10 (5 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
7人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年2月19日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。