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10ページ From:俺 ページ11

や「それではこれで、生徒会定例会議を終了致します。」
その少し程前。
生徒会の活動を終えた俺と生徒会役員の皆は、
挨拶もそこそこに帰りの準備を整えていた。
う「やんわり先生は林間学校に行かれるんですか?」
や「そうだね。生徒達の引率もしないといけないし。」
と言うのも、三年生の担任を務める教師は
全員参加が決まりだったりする。
この高校には副担任がいない為、非常勤の先生や
同じもしくは別の学年を担当する先生が代わりに充てがわれる。
その時の各クラスの状況にもよるけれど。
副会長である二年生のうばまろ君は、その事を
忘れてたと言わんばかりに声を上げた。
う「あ…そっか。そう言えばそうでしたね。」
「うばまろさん、貴方は本当に馬鹿ですか。
会議の前に概要を把握しておくのは当たり前の事ですよ。」
う「たまたま忘れてただけだよ。もう忘れないって。」
うばまろ君が一年生の風紀委員の女の子に冷たく咎められるのは、
ここ生徒会ではよく見る光景だ。
彼がそれに柔らかな表情と言葉で返すまでが
お決まりと言うか一つの様式美と言うか。
ぽ「先生ー。おやつは幾らまでOKだっけ?」
や「遠足かい。
泊まりだから三百円じゃ持たないだろうね。五百円位じゃない?」
ぽ「えー、足りなーい。」
や「ぽずの事だから生の魚でも持って来そうやな。」
ぽ「持ってかないよ。ましてや先生の部屋で
持ってきた魚を片っ端から焼くなんてしない。」
や「おまっ…!焼くなよォ!」
何となく昔を思い出したやり取りに、部屋中から笑いが溢れる。
いや、冗談抜きで止めて貰いたい。
部屋が魚の生臭い匂いで充満するから。

話し込んでいる内に、終了予定時間を過ぎてしまっていた様だ。
生徒会室の前で皆と別れ、理華さんが
待っているであろう俺と彼女の教室へ向かう。
先に帰ってくれても良かったけど、理華さんが
生徒会の活動が終わるまで待っててくれる。
習慣になったとは言え、やはり彼女が心配だ。
俺なんかと一緒にいて、本当に楽しいのだろうか。
今はまだ聞いていないが、あらぬ噂を立てられて
それが元で苛めを受けてしまう事だって有り得る。
何より親御さんにも申し訳が立たないだろう。
でも、彼女を好きな気持ちは本気で
彼女も俺の事を好きだと言ってくれている。
だから今は、それだけで良いのかも知れない。
職員室で荷物を纏めて、三年生のクラスがあるクッパ棟に向かう。
教室に着くと、やはり一人で待っていた彼女を
見付けてその小さな背中を抱き締めた。

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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年2月19日 21時

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