[や.ん.わ.り]Forbidden fruit is sweetest.[学パロ/実.況.者] (ページ2)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:4,389 hit

1ページ　From:私ページ2

あなたは、運命の人って本当にいると思う？
もしそれが、好きになってはいけない人だとしたらあなたはどうする？
その人をずっと好きでいられる自信はあるの？

授業も部活も終わったこの時間。
辺りは既に夕陽が傾いているが、私達は気にならない。
私とやんわり先生は今、自分達の教室で口付けを交わしていた。
舌を入れようと彼の歯をなぞった所で、唐突に離れてしまう。
や「理華さん、それはまだ早いよ。
せめて卒業してから。」
『先生。二人きりの時は呼び捨てで呼んで下さいよ。』
や「…ああ、そっか。ごめんね、まだ慣れてなくて。」
『もう。』
先生と生徒。
普通に考えれば有り得ない関係。
誰かに見られたら、私も先生も学校を辞めなければいけなくなってしまう。
でも、この気持ちは本気だ。
だから、私が卒業するまでは周りには内緒。
ねえ、何で生徒は先生に恋をしてはいけないの？
『そうだ。これ、受け取って下さい。』
私はそう言って、ブレザーの内ポケットから薄い紫色の栞を二枚取り出した。
昨日家で作った物だ。
その内の一枚を先生に渡す。
や「ありがとう。理華さんの名前が書いてあるんだね。」
『私のとお揃いです。しかもこうやって合わせると…。』
彼に渡した栞と私の物を繋ぎ合わせる。すると、
私達二人の名前が書かれた相合傘が出来上がった。
裏同士を繋げると、今度はデフォルメされたオスの黒猫とメスの白猫が
手を繋ぎ合ってハートを飛ばしているイラストが出来る。
言うまでもないが、黒猫が先生の物で白猫が私の物。
や「…何か、恥ずかしいね。」
『私も、作ってる時は恥ずかしかったです。』
顔を赤くして少し俯くと、先生に抱き寄せられる。
彼の心臓の音が、私の耳に伝わってきた。
同じ様に、私の心臓もどくどくと鳴っている。
や「でも嬉しい。そんな思いをしてまで作ってくれたもの。
大事にするね。」
背伸びをして少し高い位置にある胸に
顔を埋め、その細い腰に両手を回す。
ああ。今の私、凄く幸せだ。

先生の温もりを充分に感じ、体を離す。
や「そう言えば今日は宿直だったな。」
『夜の学校って、やっぱり怖いんですか？』
や「うーん、最初は怖かったけどもう慣れちゃったな。」
その話を聞いて、握り合っていた手に力を込める。
や「ごめん。怖がらせちゃった？」
『…校舎出るまで、手を離さないで下さいね。』
や「ふふ、分かった。」
『もう、何で笑うんですか！』
笑い合いながら教室を出る。
校舎の外は、既に夕陽が沈み掛けていた。