17ページ From:私 ページ18
『…。』
ス「…。」
誘ってくれたのは良いんだけど、会話が続かない。
話題が見付かっても、すぐに途切れてしまう。
『…それにしても、本当に雰囲気良いよねここ。
冬に来たらまた違うんだろうな。』
ス「そうですね。雪が積もった木の建物って言うのも、
趣きがあって良いでしょうね。」
また会話が止まりそう…。よし、こうなったら。
『月光花のPVみたいな雰囲気になりそうだよね。』
ス「あれは雪じゃないですけどね。でも、
日の光が当たったら幻想的ですね。
マリス辺りならもうやってそう。」
良かった、何とか繋げた。
私はヴィジュアル系の雰囲気は、案外嫌いでは無かったりする。
男性なのに女の子よりも綺麗な人には憧れさえも感じている。
どんな化粧をしたらあんなに綺麗になれるのかな。
あんな風に化粧したら、やんわり先生は綺麗って言ってくれるのかな。
り「あら、スナザメ君に剣持さんじゃない。」
後ろからそう聞こえて、二人でほぼ同時に振り向く。
『りんごちゃん先生。』
白いドレスを着た、線の細いイケメンがこちらを見ていた。
これでも彼…いや、彼女は私達の高校の保健室の先生だ。
り「あら、先生は付けなくても良いのに。
真面目な子なのね、剣持さんって。」
ス「ここでもその格好なんですね。」
り「当たり前よ。ウエディングドレスは女の戦闘服よ。」
『誰と戦うんですか。』
ス「と言うか何ですか、そのどっかの心療内科漫画みたいな台詞。」
私の後にスナザメ君が続いて先生に突っ込む。
り「まあ、そんな細かい事は良いじゃない。
所で、二人は何をしていたの？」
ス「建物の中で迷わない様に、剣持さんと一緒に探索していました。」
り「あら、そうなの。私はてっきりデートかと思ったわ。」
言われて、思わずどきりとなった。
同時にやんわり先生の顔が頭をよぎる。
対して、スナザメ君は顔をうっすらと
赤らめたまま、りんごちゃん先生を凝視していた。
『そんな訳、無いじゃないですか。私達付き合ってすら無いのに。』
り「そう。それは気を悪くしたわね、ごめんなさい。
でもああやって歩いていたあなた達は、どこからどう見ても
付き合いたてのカップルみたいだったわよ。」
くすくすと笑いながらそう言う彼女に、
私は人知れず不安な気持ちになってしまった。
どうしよう、この場面をやんわり先生に見られていたら。
り「じゃあ二人共、林間学校を楽しんでね。」
彼女はそう言い残して歩き去ってしまった。
私達二人の間に、気まずい空気が漂った。
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