[は.た.さ.こ]ポーカーフェイス・コンプレックス[学パロ/実.況.者]

最後の手紙 ページ48

授業が終わって着替えを済ませ、教室に戻る。
そして登校時と同じ様に、荷物を片付けてから
はたさこ君達の所に向かった。
『はたさこ君！ダンス良かったよ！』
は「…はるかも、良かったですよ。」
か「ちょっとー！ワシは無視なん！？」
と、廊下から聞き慣れた声がしたのでそちらを見た。
声の主であるうばまろ君が、彼より少し背が高い女子生徒と話していた。
リボンの色が、三年生を表す緑色なのが遠目でも分かる。
肩まであるだろう髪を、無造作に一つ結んでいるのが印象深い。
彼と話しているその先輩が、やや挙動不審になっているのもすぐ分かった。
その顔は赤らんでいるが、どこか嬉しそうだ。
やがてチャイムが鳴る。
二人はその場を離れたけど、うばまろ君がこちらを通り掛かった時に
私に向かって握りこぶしをぶつける仕草をした。
視線を戻すと彼ら二人も私と同じ方向を見ていたのか、
かわぞえ君はニヤニヤしていて、はたさこ君は視線を泳がせていた。

時は流れて、放課後。
部活を終えて音楽室を出ると、はたさこ君が
スマホ片手に窓の景色を見ていた。
『あれ、他の皆は？』
は「えっと…、かわぞえ君がはるかと俺とで帰れって。」
彼はそう言いながら、急いでスマホを鞄に仕舞った。
二人で並んで、廊下をゆっくり歩く。
それに合わせて、私が持っているクラリネットのケースが揺れた。
は「はるかって、担当はクラリネットでしたよね。
やっぱり吹くのって大変なんですか？」
『始めた時はね。でも慣れたら楽しいよ！
あ、そうだ！はたさこ君もやってみたら？
案外私より上手いかも！』
は「でも、そんなの持ってないですよ。」
『私が貸すよ！』
は「そ、それって…か、かか、かんせっ…！」
途端に真っ赤になる彼。
『うん、間接キスになっちゃうね。』
私がそう言うと、余計に赤くなった。
は「お、俺は、その…。
か…、間接よりは、直接の方が…。」
あら大胆。とても恋愛初心者の彼に似つかわしくない発言だ。
『直接したいの？やっぱりそうだよねー。
その方が暖かいもんね！』
敢えて＜何が＞とは言わない。
その方が、彼の反応が面白いから。
『良いよ。直接しよ？』
は「え、ちょ…！」
立ち止まり、彼を壁際まで追い詰める。
壁に彼の背中がぶつかるのを見届け、背を伸ばして見つめる。
『はたさこ君、好き。大好き。』
顔を近付けてそう囁き、彼の唇に自分のそれを押し付けた。

ねぇ、はたさこ君。
私にここまでさせた君が、本当に嬉しいの。
だからずっと、隣にいてね。

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