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四十三通目 ページ44

後に続いて、私の口から自然に出てきた言葉。
それがその場のノリなのか、本心からなのかはまだ分からない。
元彼やファーストキスの状況が特殊過ぎたから、
自分が分からなくなってしまっているのかな。
『…私で良いなら、宜しくお願いします。』
そう告げたすぐ後、彼が少しだけ俯いてしまう。
『どうしたの?』
は「…い、今の俺の顔、見ないで下さい…。
その、変な顔、してるから…。」
『どんな顔?見せて見せて!』
は「嫌ですよ…。見せません…!」
『えー!気にな…っ!』
今度は言葉を遮られてしまった。
他でも無い、はたさこ君からのキスによって。
もう、これじゃ顔が見えないよ。
仕方が無いから、彼に合わせる事にする。
海外ドラマとかで見る様な、啄む様なキスを暫く続ける。
それでいて、深くしない様に。
今の私達にはこれが限界だから。
下手したらさっきよりも長いかも。

そっと離して、言葉を紡ぐ。
『…本当はした事あるんでしょ?』
は「なっ…、何でですか…!?」
『慣れてないとこんなキス出来ないじゃん。』
は「した事ありませんよ、本当に…。
た、ただでさえ女の子と話せないのに…。」
ボソボソと、言葉尻を窄めていくはたさこ君。
『確かにね。何か納得出来る!』
は「それはそれで、何か嫌だ…。」
くすくすと笑うと、彼もつられて笑った。
ふと窓の外を見ると、既に日が暮れ掛けていた。
『そろそろ帰ろっか。もう画面酔いは平気?』
は「はい、お陰様で。軽度の酔いで良かったです。」
『良かった。でもコンビニには寄って良い?
赤ペンの色が出なくなっちゃってて。』
は「…良いですよ。」
『やったー!はたさこ君とデートだ!』
は「デートの行き先がコンビニですか…。」
『好きな人と一緒の行き先なら、
どんな所でもデートになると思うんだけど。』
は「それは極論な様な…。」
そう言った後、彼が赤い顔を更に赤くした。
は「って言うか、で、でーと…。」
あら時間差。って、そうじゃなくて。
私は立ち上がって二人分の荷物を持ち、
固まる彼を急かしてコンピューター室を出た。
その内の一つを彼に手渡して、空いた手を繋ぐ。
どぎまぎする彼を見て、私もこんな時あったなぁと呑気に思った。

そんな帰り道。
『ねぇ。そろそろ私の事、ニックネームで呼んでよ。』
うばまろ君達と初めて会った時にした会話。
あの時から唯一、彼だけが私の事を苗字で呼んでいた。
もう付き合ってるんだし、呼び方を変えて欲しいな、なんて。
は「えっと、じゃあ…。」

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螢羅(K-Ra)(プロフ) - 夜月さん» メッセージありがとうございます!設定だけで言えば王道だとは思うんですが、それ故にどう変化を付けるのかが難しい作品でもありました。書いていて楽しかったですけどね!2ですね!了解しました! (2018年2月6日 13時) (レス) id: e598710c3a (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - 突然のメッセージ失礼致します。完結おめでとうございます!大好きなはたさこさんのお話で毎回ニヤニヤしながら二人の恋路を見ていましたwもう青春って素晴らしいです!!www次の作品のアンケですが2がいいです!お忙しいとは思いますが体調にはお気をつけください (2018年2月6日 13時) (レス) id: 37437532ec (このIDを非表示/違反報告)
螢羅(K-Ra)(プロフ) - 心音さん» わー、ありがとう!結構多いから、自分のペースでゆっくり読んでね!世界観が繋がってるのとそうでないのがそれぞれあるから、中身分からないまま一気に読んだらこんがらがると思う…。私もちょっとこんがらがったw1か3了解! (2018年2月5日 23時) (レス) id: e598710c3a (このIDを非表示/違反報告)
心音(プロフ) - 完結おめでとう!いまだに読めてない作品とかあるから今読んでる!次回は1か3!!次も頑張ってね! (2018年2月5日 22時) (レス) id: e09554575b (このIDを非表示/違反報告)
螢羅(K-Ra)(プロフ) - Rimmさん» コメントありがとうございます!地味に3銃士勢揃いは狙ってましたwうばまろさんのお話は、彼は年上と恋愛させてみたいなと言う思い付きから始めてみたものです。やんわりさん了解しました! (2018年2月5日 21時) (レス) id: e598710c3a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年7月7日 11時

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