拾参 ページ13
*
眠い。
今、とてつもなく眠い。
眠くて眠くて仕方がない。
ふゎ……。
欠伸を漏らして涙目を擦る。
「あら、Aちゃん眠いの?」
「嗚呼、姐さん。実は昨日、遠くの方で任務があってねぇ」
「それならば太宰、木の上で寝るといい」
「おや、伊黒君じゃないか」
近くのあまり高さがない松の木から顔を覗かせる伊黒君。
……と、鏑丸君。
「南無阿弥陀仏……、もうすぐで新しき柱と御館様が到着なさる。昼寝は辞めておいた方が良い……」
隣でじゃらじゃらと数珠を鳴らしながら注意する悲鳴嶼さん。
相変わらず涙脆いねぇ。
「大丈夫ですよ、悲鳴嶼さん。私は新しい柱にさして興味がないので、元々参加する気は在りませんから」
「この会は強制ではないからな。興味ないのは俺や太宰の他に、来ていない者が三名いるくらいだ」
私は彼に誘われた通り、奇怪な形をした松の木に登り、昼寝の姿勢をとった。
すると、彼が居る反対側の幹から、真っ白な鏑丸君がするすると此方の方へ来て、私の頸に絡み付いた。非常に可愛らしい。
あれ?
若しかすると、私に噛んで毒を注いで呉れる為に来たのかな?
「うん、善い子だねぇ」
小さな逆三角の頭を撫ぜる。
「じゃあ、諸君! おやすみ〜」
「俺も寝よう……」
こうして、訪れて早々に私と彼……と鏑丸君は瞼を閉じてお昼寝を始めた。
「ふむ、本当に寝るとは!!」
「二人とも可愛いわねぇ」
「……南無阿弥陀仏…………」
* * *
「おや……、おはよう鏑丸君」
もう直ぐ柱合会議が始まると云う事で、鏑丸君が私と伊黒君を起こして呉れた。
結構な時間を眠っていた様で、新しい柱の紹介はとっくに終了していた。
枝の隙間から新しい柱の姿が見えたが、何となく懐かしい気がした。
「……あ、伊黒とA! ようやく目が覚めたか!」
此方に気が付いた煉獄君が声を掛ける。
相変わらず溌剌とした声だから、脳の覚醒が少し早まった気がする。
「……まだ眠い」
目元をごしごしと擦り、欠伸をしながら木の幹から庭に降り立つ伊黒君。私の元に居た鏑丸君は、しゅるしゅると主である彼の処へ行ってしまった。
それから彼は、私の方へ両の手を伸ばしてこう云った。
「ほら、降りてこい太宰。特別に俺が受け止めてやるから」
「それは有難い。是非頼むよ」
笑いながら、遠慮なく其の腕のに飛び込んだ。
「……A、か?」
373人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サブとバラ(プロフ) - 戯言さん» コメントありがとうございます!本当にお待たせいたしました。毎日とはいきませんが、更新停止にならないよう、少しずつ連載していきますので、どうかこれからも応援よろしくお願いします! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
戯言(プロフ) - 待ってました!!更新ありがとうございます!!! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 2a27d057e9 (このIDを非表示/違反報告)
サブとバラ(プロフ) - Kuro4141さん» ありがとうございます!皆さんをお待たせしたくせして受験落ちるわけにはいきません……!イイとこ受かってお祝いの更新します! (2020年10月17日 22時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)
Kuro4141(プロフ) - 気長にお待ちしております!受験頑張って下さい! (2020年10月17日 19時) (レス) id: 8db3a541f6 (このIDを非表示/違反報告)
常田(プロフ) - リヴさん» またまたリヴ様!! こうしてコメントを下さるのは何度目のことか……!! 嬉しい限りでございます!!!!! ありがとう!! (2020年4月26日 12時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サブとバラ x他1人 | 作成日時:2019年10月19日 22時