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紫陽花(Fside) ページ10

紫陽花は…幾多の花言葉を持つと言う





「何見てんの?」

「あ…」

「ふぅん。太輔、こう言うの興味あるんだ。」

「いや…。今日のロケ地に咲いてて…。スタッフさん達が話してたから…何となく…」

「へぇ…。色々あるんだねー。『強い愛情』『団結』かぁ…」





俺のスマホを覗きながら話す渉の声を聞きながら、チラリと想い人に視線を向ける





北山は、紫陽花みたいだ…





そう思う





彼は強い愛情で俺らの為に自分を犠牲にもできる人

けれど…





「こっちの花言葉の方が有名みたいだよ。」

「『移り気』?…『無情』『冷淡』『傲慢』…なんかすごいな(笑)」





彼はこちらの花言葉がふさわしい…俺の事については





「北山、今日…」

「あぁ、今日は無理。」

「そう…」

「…辛いなら止めれば?」

「やだっ…」





好きになったのは俺の方

『俺は誰の者にもならない』

そう言う北山に「それでもいいから傍にいて」そう願ったのは俺





「…今度はいつ会える?」

「明日会えるじゃん。」

「仕事じゃなくてっ…!」

「んふふ。…また連絡する。」





北山の言葉を信じて、ずっと家で待ってる俺を

北山はどんな風に感じているんだろうか…





「はいっ!もしもしっ!?」

『んふふ。俺の電話、待ってたの?』

「…っ…///」

『…藤ヶ谷…会いたい…』

「家にいる…来て。」





俺の上で恍惚の表情を浮かべる北山の胸には、別の人がつけた赤い痕





昨日は誰と会ってたの…?





少しでも言葉にすると、きっと北山は俺の傍からいなくなる

だから俺はただ





「好き…北山…好き…」

「ん…俺も好きだよ。」





嘘でもいい

その言葉が聞けるなら…





「ん?…紫陽花か…。珍しいな、花なんて。」





近くの花屋で偶然見つけた紫陽花

寝室の窓辺で月明かりを浴びてぼんやりと浮かんでいる





「北山に…似てると思って…」

「俺に?」





どこが?ってくすくす笑う北山は、昼間とはまた違う表情

やっぱり紫陽花に似てる…そう思う





「俺が紫陽花なら…藤ヶ谷は、雨だな。」

「え…?」

「紫陽花は雨なしでは枯れてしまう。雨を受けて、紫陽花はまた違う輝きを身に纏う。」

「北山…」





静かに目を閉じて眠りについた北山の寝顔をそっと見つめる





ねぇ…北山にとって俺って何…?





今夜もまた聞けないまま夜は更けていく





窓辺の紫陽花の向こう

いつの間にか雨が窓を濡らしていた






END

永久(とわ)の願い〜SAKURA(太輔side)→←3.(Fside)



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作者名:MISA | 作成日時:2016年5月5日 19時

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