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我輩は猫である3 ページ46

「名前、何が良い?」





俺を抱き締めたまま、藤ヶ谷は俺に語りかける





「あー、でももうヒロしか思い付かないや。」





ヒロで良い!

いや、ヒロが良い!

だって俺は北山宏光なんだから!





「ミーミーミー」

「ん?お前もヒロが良いの?」

「ミーミー!」

「んふふ。ヒロ。」

「ミー!」

「あはは。返事してる。それじゃ、お前は今日からヒロだ。」

「ミー!」





ずっとヒロだけどな…





そう思いながらも、藤ヶ谷の手にスリスリと頭を撫で付けて、甘えてみる





「可愛いなぁ。ホント北山と同じ。」





いやいや…、マジ?///

藤ヶ谷さん、今日はどうしちゃったの?





「……好きだよ、ヒロ。」





///

いや、猫だからだって!

思わず照れた自分に言い聞かせる





「お前には素直に言えるのにな…。」





……え?





「好きだよ……北山…」





………えぇぇぇぇっ?!





「はぁ……北山からのチョコ欲しかったなぁ…。」





ま、ま、マジですかっ!?

そんな奇跡みたいなこと起きますかっ!?





……ここで気付く

そうだ、これは夢なんだ

俺、今猫になってるし、長年想いを寄せていた藤ヶ谷が俺と同じ想いだし、これが夢だって以外に何がある?





「はぁ……ヒロが北山だったらなぁ…。……会いたいよ…北山…」





藤ヶ谷!貴方の前にいるの、北山です!





そう叫びたいのに、声はやっぱり届かなくて、段々と暗くなっていく視界…

そして次に気付くと、俺は自分の部屋のソファに横たわっていた





「…夢かぁ…。…………変な夢。そんな事ある訳ないじゃんなぁ…」





自分に言い聞かせるように呟いて、目の前の時計に気が付いた





「ヤベっ、仕事遅れる!」





ギリギリで入った楽屋

見渡せば、アイツの姿がない

何かあったんだろうかと心配で、チラチラとドアの方を見ながら着替えていたら、10分程して藤ヶ谷が駆け込んできた





「ごめんっ!」

「どうした?珍しいな、太輔が遅刻なんて」





聞くつもりはなくても、耳に入ってくる声

夢の中の藤ヶ谷と同じ甘い声





「昨日、猫拾ったんだけどさ。朝起きたらいなくなってて…」

「えっ!?」





思わずもれた声に、二人が驚いてる





「どうした?みっちゃん。」

「あ、いや、ごめん……何でもない…」





チラリと合った視線

藤ヶ谷の瞳が揺れていた





.

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作者名:MISA | 作成日時:2016年5月5日 19時

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