約束 ページ15
夜空を流れる星屑の河
季節は廻り、待ちわびた時が来る
愛しい人…待っていて…
河を越えて会いに行く
君の白い肌に早く…触れたいよ…
1年越しに見た君は、あの日と同じ可愛い寝顔
その艶やかな紅い唇にそっと口づけを落とすと
君の大きな瞳がゆっくりと現れた
「…太輔…？」
「待たせたね、宏光。」
「……待ちわびたぞ…」
溢れる感情に戸惑うような笑顔を見せながら、宏光が縋るように両手を伸ばす
それを掬うように受け止めて、宏光を胸に抱き寄せた
「やっと会えた…」
「太輔…」
「宏光を1秒たりとも忘れたことなどなかった。」
「俺も…。ずっと太輔を想っていた。」
「…時間が足りない。宏光を…感じさせて…」
「刻んで…太輔の愛を…」
唇で指で手で触れる宏光の体は、時の流れを忘れさせる程に
1年前と同じ暖かく甘い香りを漂わせ、俺を魅了する
「声、我慢しないで。可愛い顔、見せて…」
「ああっ…太輔っ…」
「可愛い…愛してるよ…俺だけの宏光…」
宏光の背に美しく光る三日月が
あの河の向こうに消える時
俺達の時も終わりを迎える
「太輔…もっと強く抱きしめて…」
「こう…？」
「もっと…もっと強く…。」
背に回した手に力を込めて抱きしめると、同じように強く抱きついてくる
まるで…
俺を離さないと言うように…
三日月は…
もう姿を消そうとしている
別れの時はもうすぐ…
君には笑っていて欲しいから…
君のその白く美しい頬を涙で濡らしたくないから…
「宏光、疲れたろう？…こうして強く抱きしめている。だから…もうお休み。」
「…ずっと抱きしめていてね。…そして…俺が眠りに落ちる前に…優しい口づけを…」
「約束する。」
「目が覚めた時に…また太輔に一番に会いたい…」
「…おやすみ。宏光。」
宏光の願いに応えるように優しく微笑むと
宏光は安心したように瞳を閉じた
来た時と同じように可愛い寝顔を見せる宏光の唇にそっと口づけを落として
再び星屑の河に向かう
「出してくれ」
船頭がゆっくりと舟を動かしていく
遠ざかっていく光に君の寝顔を映して…
次にまた愛しい宏光をこの腕に抱けるのは1年後…
必ず会いに来るから…
愛しい人よ…待っていて…
終
証〜それでも俺達は〜→←永久（とわ）の願い〜椿（高嗣side）
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作者名：MISA
| 作成日時：2016年5月5日 19時
