昼の月 (ページ3)

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結局…俺と北山の二人旅は決行する事となり、詳細は後日…と会議は解散となった

重い空気はそのまま

メンバーは誰一人として席を立とうとする者は無く…

「なんか…モヤモヤするね…。」

遠慮がちに健永が呟いた

「うん…。スタッフが言ってる事は分かるんだけどさ…。」

「なんだよ、離れろってつったり、くっつけって言ったり…！」

俺と北山をちらちらと窺いながら不満を口にする弟達に、俺も思わず感情を抑えられなくなった

「そうだよね…。ガヤさんとキタミツが一番悔しいよね…。」

大人になって気付いた事…

デビューを目指してもがいていた頃の俺達は、全くの子供だった

自分達の意志でこの世界を渡って来たつもりだったけれど、全て大人達の目論みに上手く乗せられていただけだった

仲の良かった俺と北山に、少し距離を置く様に遠回しに言われたデビュー前

俺達は…大人達を信じて距離を置いた

デビューの為に…

そして夢が叶った後ですら、それは戦略としてグループに残された

なのに、今になって…

「藤ヶ谷…」

「分かってるよ。」

悲しみも苦しみも…負を全て隠すような北山の強い瞳に、思わず言葉を被せるように呟いた

けれど、次に北山から発せられた言葉はまた、違和感を感じざるを得ないものだった

「……お前の気持ちは、理解してるつもりだよ。嫌な思いさせてる事も…分かってる。」

「ミツっ…。それはミツだって…！」

「いや。俺はこんな性格だし…さ…。一番苦労してんのは、藤ヶ谷だと思う。ごめんな…。」

「…何で北山が謝るんだよ。」

「うん。……でも…ごめん。」

「ミツ…」

北山は…何を考えている…？

「…色々思うことはあるけどさ、でも…俺達の事を真剣に考えてくれてるスタッフの想いも背負わないとなって思うんだ。」

「うん。」

「…皆も…色々不安になったりする事もあるだろうけど、この際もう…振り回されてやろうよ。その中でもきっと俺達に出来る事はある。」

「ミツ…」

「頑張ろうな。」

「うん。きっと大丈夫だよ！俺達には固く結ばれた絆があるから！」

「んふふ。千賀、お前ホント、絆、好きな。」

けれど、最後に弟達と笑い合う北山には、違和感なんて微塵もなくて

俺達をいつも引っ張ってくれる…いつものしっかりした最年長の姿だった

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