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北山が眠っている間に、近くで買い物を済ませて台所に立った
滅多に料理なんてしないけれど、弱った北山に何かしてやりたくて、渉に電話しながらおかゆを作る
『熱が高いからなぁ…。おかゆよりもスープとかの方が良いって言うかもな。簡単な野菜スープも作ってみるか?レシピ送るよ?』
「ん、ありがと。」
『明日になっても下がらないようだったら、マネージャーに連絡して病院連れてった方が良いぞ。』
「分かってる。」
『…まぁ…太輔の献身的な看病があれば、みっちゃんもすぐ元気になるだろうけどな。』
「そかな…」
『ふふっ。頑張れよな。みっちゃん…ちゃんと太輔の事頼ってたじゃん?』
「…うん…。」
『……今、なのかも知れないな…。』
「ん?」
『太輔の頑張りどころっ!』
「え?」
『ちゃんとみっちゃんの事、繋ぎ止めろよ!』
「わた…」
『健闘を祈る。みっちゃんも、スープも!』
明るい声でそう言って、渉の電話は切れた
親友の熱い想いに、ぼやけそうになる視界を拭って目の前のおかゆを見つめた
渉が送ってくれたレシピを見ながら、なんとか仕上がった野菜スープ
おかゆも何とか成功かな…
火を止めて北山の様子を見に行くと、寝かせた時の姿で布団に埋もれて眠っていた
少し前に貼ったばかりの冷却シートが汗で剥がれそうになっている
そっと剥がして、冷たいタオルで汗を拭うと「んぅ…」と唸って身動ぎした
「辛いよな…」
髪を撫でながら、しばらく様子を見ていたら薄らと瞼が開いた
「……藤ヶ谷…?」
「ん。気分どう?」
「……ぁ…っぃ…。」
「熱、まだ高いからな。水飲むか?」
コクンと頷いたのを確認して、ゆっくりと体を起こしてやる
背中に入り込むと、熱い体が凭れ掛かって来て、何だか…嬉しかった
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作者名:MISA | 作成日時:2017年12月7日 13時