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「すごい反響だったねぇ!」
興奮気味に話すのは、キスマイのスタッフ達
恒例の歌の特番で俺達がした女装にかなりの反響があったみたいだ
……とは言っても、これは想定内
俺達がスタッフと一緒に目論んだ事だから…
***
ひと月程前の打ち合わせの時…
「今年の仮装は、女装でいきたいと思うんだけど。」
「じょ、女装?!」
「そう。去年異常の反響が欲しいからね。」
「え…と…、にしても、なぜに女装???」
素直な疑問を投げかけたタマに、スタッフはふぅ…と息を付いた後、一気に捲し立てた
「去年から色々あって…正直今はキスマイにとって勝負の時だと、俺達スタッフは考えてる。この危機を乗り越えるには、どうしたらいいか、皆で考えたんだよ。」
「危機…」
斜め前の席で北山が呟くのが聞こえた
キスマイの危機…
大きく変わった事務所の内情
その波に真正面から飲まれたのは、俺達だ
自分達ではどうすることも出来ない現実を前に、メンバー全員が焦りを感じた時もあった
「ファンの心を掴むには、ファン心理を大いに利用するのが一番の近道だ。ドストレートにファンの欲望に応えようと考えて出たのが、この女装だよ。綺麗な男の女装を見たがるファンは多いからね。」
「…はぁ…」
「キスマイはある意味制限のないグループだからね。他のグループよりも伸び代も可能性も大きいと思ってるよ。」
「…ありがとうございます…。」
「どうかな?女装するって事で良いかな。」
思う事は色々あるが、女装は初めてではない
ニカなんて自ら、ジョッシーやってるし…
「…分かりました。」
「3人は正統派の女装で。舞祭組の4人は、真面目にいくかふざけるかは任せるよ。」
スタッフの言葉に4人が騒ぎ始めた
方向性を決められてしまった俺達は、その様子を黙って見守るだけ
どうやら4人はおふざけの方向に決まりそうだ
やがてタマも4人に加わり、ワイワイと盛り上がっていく中、北山がスタッフにぼそぼそと話し掛けた
「……4人がそっちに行くなら、俺もちょっとおふざけの要素取り入れても良いっすか?」
「ん?」
「どう足掻いたって、藤ヶ谷と玉ちゃんには勝てねぇもん。逃げ場作らせて下さいよ。」
『逃げ場』
北山らしくない言葉と自嘲気味笑う表情…
何なんだろう…
この違和感は…
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作者名:MISA | 作成日時:2017年12月7日 13時