弟よ、私を事件に巻き込むな！

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｢何故だね？｣

｢水着は普通の服と違って水に濡れても透けにくい素材でできています。それがたとえ白だとしても北森さんみたいにがっつり透けることはありえないんです。そんな水着あったら大問題ですしね。それに、中に着ているのも水着というより下着です。男の方は騙せても女の私からみたら水着には見えません。｣

てか、中のやつ明らかに下着なんだよ！後ろにホックのある水着なんて見たことねぇよ！

｢これは、そういう素材なのよ！｣
｢そうですか。下手したらそれ中まで透けかねないのでその水着作った会社に連絡することをオススメしますよ。まあ、水着じゃないでしょうから、無理でしょうけど。｣

そう言うと女の人は黙る。

｢水没した車から脱出した時はズボンかスカートを穿いていたが、水面から顔を出したらそこは海水浴場。そのまま海から上がれば車の同乗者だとバレてしまう。だから穿いていたズボンかスカートを脱いで首に巻いていたスカーフをパレオのように腰に巻き、Tシャツのスソを絞って海水浴客を装ったんですよ。｣

｢でもさー、他の男2人がそうだったかもしれないじゃん。海の家で服、買ってるし。姉ちゃんのいう水着じゃないってのもそういう水着なのかもしれないじゃん。女の人はビーサンしか買ってないしさー。｣

｢ビーチサンダルしか買えなかったのよ。財布が海水につかってお札が濡れてて小銭しか使えなかっただろうし。水着に関してはそういう水着って言われちゃったら言い返せないわね。でも、あのうえの白い水着がビキニだとしたら大問題なのよ？だから、あれは水着じゃないと思う。他に何かある？新ちゃん。｣

大人気もなく言い返してしまった。10も年下の弟に……

｢まあ、濡れた札を強引に使う手もあるが、そんな客、海の家の店員に覚えられてしまうし海の家でクレジットカードが使えるとも思えないしな。｣

｢し、しかし女性なら濡れてもいいサンダルを元々履いてたって場合も…｣

｢忘れたんですか？車に乗っていたのは強盗犯をなんですよ？しかも強盗事件が起きたのは車が海に落ちる少し前で現在逃亡中だったなら、わざわざ走りにくいサンダルに履き替えるとは考えにくい。ですよね？北森さん。どうせ偽名でしょうけど。｣

てか、このお兄さん凄い。
さっきからズバッと言い返してる……

北森さんって、偽名なのか。



気づかなかった……

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