朝は短し戦げよ男士 ページ10
周りからどう見えているか、は割と気にする。目立たないように生活する上でそれはかなり重要な情報だ。
しかし今は全身全霊をかけないといけないので、周りに気持ち悪いオタクが露見しても良いとする。
「何を血迷ったか知らねえけど、それはない。マジでない!」
「俺なりのケジメだ、黙って受け取れ!」
「なにがケジメだよ逃げてるだけじゃねーかこの…っていたい痛い指輪痛えごつごつ痛え!」
「手前こそ爪長ぇよ切れ!痛え!この不衛生野郎!」
「じゃあテレキャスしまえ!」
上記のような攻防が数分、生活指導の教師が来るまで十分、二人して生活指導室に放り込まれたのが一分前である。
鬼のような教師に散々言われてから「内申は期待しないことだな」と彼の文句を後ろに部屋を出た。
テレキャスは結局僕の手の中にいる。
「どういうこったよ」
その声は出処が地獄だと思うくらいには暗かった。陰キャの精一杯の威嚇にしては出来すぎている。傍らの中原はぶすりと不機嫌なまま、自分のつま先を見つめていた。
「言ったろ、ケジメだって。手前に喝入れられて目が覚めた」
「喝っつーか、あんなの戯言だろ。あんなの間に受けたのか?」
既に一時限目が始まっている廊下は静かで、お互いの足音だけが妙に響いていた。退屈なだけでただ明るい校舎内は、病的に白い病院を思い出させた。
「冗談半分だとしても、俺には刺さったんだ。つまり俺の気持ちはその程度だったってワケだ。ならそれ相応のケジメは付けなきゃだろ。金輪際テレキャスなんて弾かねえよ」
ああ、そうですか、という呟きは喉の奥底に押し込んだ。とてもじゃないが、真面目な中原の顔を見てそれは言えなかった。
「だから、組まねえか。俺と」
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amazarashi「穴を掘っている」
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紅生姜 - 面白かったです!続きが気になります。 (2019年7月14日 16時) (レス) id: f997d5590d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麦藁 きたる | 作成日時:2019年4月17日 18時