学生二匹夕暮れにて ページ7
「『桜のダンス』はやばい。聞いてるだけで興奮する。」
「それ。まあ俺の十八番は『透明少女』だけど」
「無難に走りすぎじゃね?あとはゆら帝だな。『発光体』最高だね。最近はなんだっけ、あの、あ、ずっと真夜中でいいのに」
「手前こそ案外俗的なとこ行くじゃねえか。俺もカラスは真っ白とか大好きだけどよ。」
「あとはやっぱり、ヒトリエ」
「最高。非の打ち所全くなし」
「アンタ、『ソシアルクロック』とか大好きだろ」
「手前も『トーキーダンス』好きなくせに」
「音出ねえけどな」
夕焼けを通り越して真っ暗になりつつある外を他所に、気持ち悪いロックオタク二人の会話は白熱していた。
ナンバーガールが好きと知ってしまえばそこから話を膨らませるのは簡単だ。そしてヒトリエが好きだと知ってしまえばもう拍手喝采握手万々歳である。
back numberなんて弾き語っていたからわからなかったが、中原のギターの弾き方は完全にオルタナティブロックのそれだった。何故あの時点で気がつかなかったのか。
引き出せば引き出す程話が合うので、きっと彼とは何かの陰謀で引き裂かれた双子の兄弟だ。
「にしても、隣のクラスの陽キャと話が合うなんてなぁ」
流石に時間がやばいと帰り支度をしながらふと呟くと、中原は意外そうに声をあげた。
「俺、そんなに陽の気あったか?バンドマンなんて皆気持ち悪ぃだろ」
「いやいや、アンタみたいな陰キャが居てたまるかよ」
ごつごつしたピアスもリングも茶色い髪も、とてもじゃないが陰の物とは言えない。気持ち悪い陰キャっていうのは僕みたいな奴のことだ。
「まあ…アレは皆に合わせた結果だしな。」
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amazarashi「穴を掘っている」
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紅生姜 - 面白かったです!続きが気になります。 (2019年7月14日 16時) (レス) id: f997d5590d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麦藁 きたる | 作成日時:2019年4月17日 18時