第38 ページ47
「覚えてる。"はい"か"いいえ"でしょ」
「良かった、忘れられたかと思ったよ」
「私がそんな事するとでも？」
その答えに対し、乱歩はけらけらと笑う
それが本心からの笑いなのかそうで無いのか、いつも分からない
けれどそれももう、今日で最後だろう
「じゃあもう一回言おう。"僕と付き合ってくれますか？"」
同じ声、同じ抑揚、変わらない
変わっているのは場所くらいだろう
気持ちはもう随分前に決まっていた
奔放な姿に憧れていたのも昔の話で、今では恋慕に変わっている
それが"長い時間一緒にいたから"という自然的なことだとしても、私が乱歩に惹かれている事実は変わらない
理由なんてどうだって良いのだ、ただ好きならそれで良いじゃないか
明確に言える、私は江戸川乱歩が好きだ
乱歩は早く言ってとでも言いたげに踵を上げたり下げたりしている
その度に目線が上下するので、微かに開いた目がちらちらと光った
＿ああ、気持ちを伝えるのは下手なんだ
＿どうか大目に見てくれよ
「"はい"。…私も、乱歩が」
言葉は最後まで紡がれなかった
乱歩の腕が背中に回っている
抱きしめられていたのだ
同じくらいの身長なだけあり、少し体重をかけられただけで呆気なくバランスが崩れる
後ろの床を慌ただしく踏み、果てに尻餅をついて倒れ込んだ
痛いよ、と言っても、乱歩は聞かない
仕方なくその背中に手を回すと、嬉しくて仕方ないと言うように足をばたつかせた
やっぱり子供っぽいのはいつも通り、か
其処も良いのだけれど
「…絶対不幸にしないからね」
「言ったね？不幸にしたら許さないから」
「うん、しないよ」
いつも通り、自信満々の声
それが自分の体と言っても良いほど近くから聞こえてくるのがむず痒い
対する乱歩は未だ離してくれる気配はなく、果てには顔まで擦り付け始めた
まるで猫である
＿これが幸せ、ということで良いのだろうか
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赤井司(�洩襦��瑛�) - イラスト凄い！ (2018年3月6日 18時) (
レス) id: 32189bcc43 (このIDを非表示/違反報告)
文拡月(プロフ) - とても面白い作品に出会えて幸せです！今さらなのですが、お疲れ様でした。作品を完結させるのは大変なことなので、尊敬します！ (2017年8月14日 17時) (レス) id: f10ef5b597 (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - お疲れ様でした(今頃)太宰さんバージョンも…みたい…なぁ…？ (2017年7月10日 18時) (レス) id: 8973e64cc8 (このIDを非表示/違反報告)
読む専門の人 - 質問に答えていただきありがとうございました。 (2016年12月25日 4時) (レス) id: 256838e740 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 察したのか。私だと察したのか、脳内に直接語りかけただけで。(続編or新作希望早く出せや) (2016年12月24日 1時) (レス) id: 215c2b096b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：來麦 | 作成日時：2016年6月14日 6時
