第37 ページ46
目の前に聳える建物を照らす光は、既に赤を通り越し夜のものに変わっている
群青と茜が混ざっている空を見ながら、赤煉瓦のビルを登った
先日のように先立ってエスコートしてくれる者は居ない
1人で来る探偵社は去年ぶりだ
偶には運動しなければなあ、と思い、階段を使って4階を目指す
途中金髪に眼鏡の青年とすれ違ったが、荷物と電話とをいっぺんに熟していたので、此方には気付かなかったようだ
きっとあの青年も乱歩の餌食になっているんだろうと思うと、笑えるような哀れなような不思議な気持ちになった
疲れる足で最後の一段を登ると、眼前に『武装探偵社』のプレートをかけた扉が現れた
ドアノブを回そうと手をかけかけたが、思い直して扉を叩く
直ぐに内側から「どうぞー」と声が聞こえ、ドアノブに手をかけた
ゆっくりと回して扉を開く
開いた先の室内はまだ明るく、何人かは残っていた
「あ、横溝さん。こんばんわ！」
「こんばんわ。遅くまでお疲れさん」
「ありがとうございます。って、もう帰るんですけどね」
一番に話しかけてきた敦に同じように話しかけると、照れたように頭をかいた
手に持って居る荷物から見て、もう帰るというのは本当らしい
それでは、と言い残して扉を潜る敦に続いて、事務員の何人かも退社して行く
丁度終業時刻と重なってしまったようだ
扉が閉まり切る音がすれば、社内はほぼ無人となった
一人を除いて
「今日の御茶会は楽しかった？A」
入口の向かい側に備わった椅子に座り、くるくると身を回していた乱歩が此方を向く
その目はいつも通りの悪戯顔で、机上には駄菓子の空袋が散らかって居る
「うん、楽しかったよ。」
「そりゃ結構。」
乱歩は椅子から降りると、人気のなくなった社の床を踏みしめて此方の目の前に立った
身長差は差して無い
同じ位置に据えられた目が此方を捕らえて離さない
「で、何で来たの？感想言うため、ってだけじゃ無いんでしょ？」
分かってるくせに、という言葉を飲み込んで、意地悪に笑う乱歩を見た
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赤井司(�洩襦��瑛�) - イラスト凄い！ (2018年3月6日 18時) (
レス) id: 32189bcc43 (このIDを非表示/違反報告)
文拡月(プロフ) - とても面白い作品に出会えて幸せです！今さらなのですが、お疲れ様でした。作品を完結させるのは大変なことなので、尊敬します！ (2017年8月14日 17時) (レス) id: f10ef5b597 (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - お疲れ様でした(今頃)太宰さんバージョンも…みたい…なぁ…？ (2017年7月10日 18時) (レス) id: 8973e64cc8 (このIDを非表示/違反報告)
読む専門の人 - 質問に答えていただきありがとうございました。 (2016年12月25日 4時) (レス) id: 256838e740 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 察したのか。私だと察したのか、脳内に直接語りかけただけで。(続編or新作希望早く出せや) (2016年12月24日 1時) (レス) id: 215c2b096b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：來麦 | 作成日時：2016年6月14日 6時
