第33.5 ページ42
乱歩は足をぶらつかせていた
不機嫌そうに口を尖らせ、だらしなくその体を机に預けている
時折聞こえる空気の抜けるような音は溜息だろうか、重々しさ等何処にもない
「乱歩さん、どうしたんです？」
「別にぃ」
ごろり、と首の向きを変える
普通の人間なら「折角心配してあげたのに」とヘソを曲げてもおかしくない態度だ
しかしそれでも敦は心配らしく、抱えていた書類を卓上に置いて乱歩の前に歩み出た
「何か悩み事があるんですか？」
「何も。ちょーっとAの事であるだけ」
「先生の事で？」
「A、先生呼び好きじゃないよ」
「え」
「莫迦にされているようで嫌い」と言っていたのを思い出して告げれば、敦は「失礼な事をしていたな…」と苦笑いながら頭を掻いた
乱歩はその様子を見ると、肘をついて机から起き上がった
何処か冗談混じりな敦を見て、笑い事じゃないんだけどなあと目を細める
「にしても、やっぱり彼女さんの事って気になるんですね」
「…は？」
乱歩は耳を疑った
誰が、誰の彼女なのか
「え、横溝さんと乱歩さんってお付き合いしてるんじゃ無いんですか？」
「…いつ言ったっけ？」
「だって見るからに…違うんですか？」
「一応、まだ…」
何時もは見えない乱歩の瞳孔が、これでもかと開かれる
それは最初こそ驚きから来るものだったが、それはじきに嬉しさから来るものに変わっていった
乱歩は嬉しかった
彼女と自分が側から見て「恋人同士」に見えていたことが心から
確かにそう見えるかもしれない
けれどそれは今思ったことであり、つい先刻までは思いもしなかった
だからこそそれは余計嬉しいものになる
恋人同士に見えていた
つまり、誰が見ても"互いに愛し合っている仲"だと見えていたのだ
いつの間にかその口に笑みが浮かんだ
＿そうか、そうか、そう見えるのか
心配なんてしなくて良かったじゃないか
なら、Aもきっと＿＿＿
「悩む必要なんて無かったんじゃん」
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赤井司(�洩襦��瑛�) - イラスト凄い！ (2018年3月6日 18時) (
レス) id: 32189bcc43 (このIDを非表示/違反報告)
文拡月(プロフ) - とても面白い作品に出会えて幸せです！今さらなのですが、お疲れ様でした。作品を完結させるのは大変なことなので、尊敬します！ (2017年8月14日 17時) (レス) id: f10ef5b597 (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - お疲れ様でした(今頃)太宰さんバージョンも…みたい…なぁ…？ (2017年7月10日 18時) (レス) id: 8973e64cc8 (このIDを非表示/違反報告)
読む専門の人 - 質問に答えていただきありがとうございました。 (2016年12月25日 4時) (レス) id: 256838e740 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 察したのか。私だと察したのか、脳内に直接語りかけただけで。(続編or新作希望早く出せや) (2016年12月24日 1時) (レス) id: 215c2b096b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：來麦 | 作成日時：2016年6月14日 6時
