第25 ページ30
足を前に踏み出し、語気を強めて言う
雰囲気が変わったのを感じたのか、先程のように遮りはされなかった
その代わりと言いたげに、目だけは此方を見据えている
「心配心配って、いきなりどうしたわけ？」
睨むように言い遂げる
そうでもしなければ、此方を見つめる緑の瞳孔に負けてしまいそうだった
敦と話を終えた辺りから、乱歩の様子は何処か可笑しかった
やけに静かで、訪れた時のような活気は何処にも無かった
太宰と何かを話していたのは分かっていたが、まさかそんな短時間の話で乱歩のような人間が落胆するとは思えない
此方を見る目は変わらない
負けじと睨み返すが、乱歩の目は其処に居ることを定められたかのように動かない
その目は何かを語ろうとしていたが直前で何か別の感情が邪魔して居るのか、口を妙な形に引き締めて黙り込んで居る
これでは埒があかない
呆れながら溜息を吐く
「……それじゃあね」
その場から動かない乱歩に軽く手を振り、元の帰路を歩き出す
背中を掴まれそうになったのを避け、小走りで道を進みだした
何だか喧嘩別れのようで気分がもやもやする
その気持ちを紛らわせようと走りだしたが、直ぐに息が切れて徒歩に戻った
自分の運動能力の無さを舐めていた
そういや学生時代は足を引っ張ってばかりだったっけ
＿ああ、やめやめ
今更思い出す事じゃない
ちらと振り返ると、先刻と変わらない所で立ち尽くす乱歩が小さく見えた
追ってくる様子は無い
夕日が逆光になり、その姿はより一層見え辛いものとなって居る
去り際、その口が何かを伝えようとしていたが、見えないふりと聞こえないふりでまた歩きだした
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 255人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
赤井司(�洩襦��瑛�) - イラスト凄い！ (2018年3月6日 18時) (
レス) id: 32189bcc43 (このIDを非表示/違反報告)
文拡月(プロフ) - とても面白い作品に出会えて幸せです！今さらなのですが、お疲れ様でした。作品を完結させるのは大変なことなので、尊敬します！ (2017年8月14日 17時) (レス) id: f10ef5b597 (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - お疲れ様でした(今頃)太宰さんバージョンも…みたい…なぁ…？ (2017年7月10日 18時) (レス) id: 8973e64cc8 (このIDを非表示/違反報告)
読む専門の人 - 質問に答えていただきありがとうございました。 (2016年12月25日 4時) (レス) id: 256838e740 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 察したのか。私だと察したのか、脳内に直接語りかけただけで。(続編or新作希望早く出せや) (2016年12月24日 1時) (レス) id: 215c2b096b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：來麦 | 作成日時：2016年6月14日 6時
