第20 ページ23
「えっと…太宰…？」
ドアの前に立つその青年が、にこやかに頷く
やはり太宰だ
前会った時となんら変わらない
柔らかそうな黒髪に長身、容姿は特段悪くないのに、腕と首から覗く包帯だけが異様
確かに私の記憶にある太宰治だ
「久々ですね。前に会ったのは確か…去年？」
「多分。新しいのを書いてる時だったから」
「良くお覚えですね。そういえばどうして此処に？」
当たり前な質問という風に問いかけてきた
抱えた袋を見せながら、その理由を話す
「乱歩に呼ばれたの。ほら」
「あはは、それ私もよくやりますよ」
「アンタも大変ね」
太宰が「どうぞ」と言いながら扉を開ける
其処を軽く会釈しながら潜り、
その間中、太宰はまるで付き人のように私の背後に張り付いていた
彼なりのエスコートなのだろうか
乗り込んだ昇降機で4階を指定し、後から乗ってくる人が太宰以外いない事を確認してから扉を閉める
年季の入った機械が動く音がし、たちまち昇降機は階を昇っていく
「乱歩、探偵社ではどう？」
誰かと2人きりで居るのが慣れない所為だろうか、話を切り出しても声が強張る
突然話を切り出された太宰はというと、話しかけられたことよりその質問自体に答えるのが難しいようで、「うーん」と呻きながら苦笑した
「どう、と言われましても、彼の人は何時も変わらないですよ」
「まあ…そうだよね」
「強いていうなら、最近新しい社員が入ったんですが、その社員を困らせて居ますよ」
新入社員？
初耳だ
「それ知らない。何時頃入ったの？」
「ついこの間です。ポートマフィアと一悶着あったので、話す暇が無かったんでしょうね。とても良い子ですよ」
裏のありそうな笑顔
悪い奴の顔だ
自由奔放な乱歩が困らせ、優男の太宰が"良い子"という新入社員
何だか憐れに思えてきたのは気の所為だと思いたい
その時扉の上層に付けられた階数表示盤が『4』を指し示した
ベルの音が鳴り、扉が静かに開く
すぐ目の前に、『武装探偵社』の表札が掲げられた扉が現れた
太宰と共に昇降機から降り、その扉のノブに手をかける
嫌でも昨日の事が浮かぶ
それを頭を振って追い出すと、扉を向こう側へ押し開いた
「いらっしゃーいA！」
悩みの種＿基江戸川乱歩＿は目の前に居た
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赤井司(�洩襦��瑛�) - イラスト凄い！ (2018年3月6日 18時) (
レス) id: 32189bcc43 (このIDを非表示/違反報告)
文拡月(プロフ) - とても面白い作品に出会えて幸せです！今さらなのですが、お疲れ様でした。作品を完結させるのは大変なことなので、尊敬します！ (2017年8月14日 17時) (レス) id: f10ef5b597 (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - お疲れ様でした(今頃)太宰さんバージョンも…みたい…なぁ…？ (2017年7月10日 18時) (レス) id: 8973e64cc8 (このIDを非表示/違反報告)
読む専門の人 - 質問に答えていただきありがとうございました。 (2016年12月25日 4時) (レス) id: 256838e740 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 察したのか。私だと察したのか、脳内に直接語りかけただけで。(続編or新作希望早く出せや) (2016年12月24日 1時) (レス) id: 215c2b096b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：來麦 | 作成日時：2016年6月14日 6時
