気がついたらeidolon 2

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「チャーマ様、なぜそんなに不機嫌なのです？」


だってさ、だってさ、ほとんど外に出られないし、出られたとしてもあの紐付きなんだもんな。
オレンジ君にはわからないだろうな･･･
部屋の中で絵本しか読めないし、外に出られるとしても中庭で紐付きなんて。
それに食べ物は美味しいけど、大好きなお風呂は浮き輪。
なんかそろそろ色々限界。


「チャーマ様、つまらなそうなのでこんなものをご用意しました」


ニコニコしながらオレンジ君はとあるものを出した。
これって･･･
ターシュと同じレベルじゃん！


ゆらゆら木馬！


ありえないから！俺のこと何だと思ってるんだよ･･･
怒りを通り越してなんだか凹む。


「ここに乗ってね、ゆらゆらするんだ」


オレンジ君よ、それはもう小さい時に体験済みだ。
その写真も日本の俺の実家のアルバムに貼ってある。


「いらにゃ･･･」


「そんなに怒ってないで。これで室内でも楽しく過ごせるでしょ」


あぁ、ターシュとオレンジ君とどっちの方がマシなんだろう。
犬のように散歩されるより、まだ木馬さんの方がマシなんだろうか。
オレンジ君の好意を受け取らない程、出来てない男じゃない。
いらないとは言ったものの、やっぱり喜んで受け取らなきゃダメなんだろうな。
それが男ってもんだ。


「おえんいくぅ、あーとざーましゅ」


ぺこりと頭を下げて、んしょ、んしょ、とゆらゆら木馬の上に乗る。
前後に揺れる俺。
それを笑顔で見守るオレンジ君。


「チャーマ！･･･って何してるの？」


あぁ、ターシュ、正直助かったよ。
これの止め時がわからなかったんだ。


「可愛い！俺に黙って何してたんだよ、ワタル！」


え？そっち？そっちなの？
でもなんとなくそんな気はしていたさ。
だってさ黒猫が木馬に乗ってるなんて･･･
傍から見たら可愛いじゃん。
でもさ、それって傍から見たら、だろ？
なんなら俺、今当事者なんだよ。
くっそー！巻き込んでやる！


「たーしゅぅ、いちょ、ゆらゆら、しゅるぅ」


キラキラお目目で訴えると、眉間にシワが寄る。


「チャーマ、一緒に乗りたいんだけどね、コレは子ども用なんだよ」


「きちゃーま、こども、ちあう！おちょな！」


「うーん、どう見ても子どもなんだけどね･･･。俺がコレに乗ったら壊れちゃうよ？」


「あぅ･･･」


そんなやり取りを聞いて、オレンジ君が口を開く。


「もう少し待って、もっと楽しめるもの作ってるから」


嫌な予感しかしない。

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