筆に想いを (ページ3)

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「よっ。」

「あれ、北山？今日だったんだ？」

「うん。時間出来たから。」

奥に玉ちゃん、藤ヶ谷、俺の順で席についた。

「あれ？ミツ？」

「お疲れ、玉ちゃん。」

ドームの熱気にあてられてるのか、玉ちゃんは手作りうちわでパタパタと扇いでいた。
てか、そのうちわ、使い方間違ってるからね？
俺の書、もっと大事に扱えよな！

「熱気すごいね？」

「な、ほんと。出ないのにソワソワする。」

「うん、懐かしいし、楽しみだしで鳥肌立ちそう」

「ふは、分かるわ。もう…なんか、なんとも言えないって感じ、きっとさ、ファンの子も同じ気持ちだと思うし。」

「うん。この空気、肌で感じちゃうとさ、早くライブさせてもらいたいなって思う。」

「今日は、構成の事なんか見ずに、ライブを見るんだ。」

「ちょちょ、ガヤ、ミツ！始まる！！」

玉が身を乗り出し、うちわを胸の高さで構える。

「あ、藤ヶ谷悪い、場所代わってくんね？」

「え？いいけど、何？」

「んー、俺と玉ちゃんは二人で1つなんだよ。」

トートバッグから1枚のうちわを出した。

その面には【梨】の一文字。
玉が持つうちわは、【亀】
二人が並んだら、亀梨ってなるでしょ？
ファンの子達がよくやってくれてるのを俺も真似っ子しちゃったんだよね。

「北山、お前さぁ…」

どんなアピールの仕方だよ。ってセクシーキングは笑うけど、いいんだよ！
書いただけでも器のデカい男だと思うだろ！と、コソッと呟けば、ハイハイ。分かってるよ。とまた笑われたけど、それに答えようと開いた口はドームに響いたBGMと歓声で言葉にはならず、ステージに釘付けになった。