ちはやぶる【相澤消太】 ページ16
私がヒーローになりたいと願ったのは、
全てが終わった後でした。
.
私は貴方の最初の生徒。
私は貴方が最初に除籍処分した生徒。
テキトーに生きてた私を入って2日目ですぐ。
「言った通りに、除籍処分だ」
「は？」
「冗談だとでも思ってたか？
お前はヒーローになりたいとも思ってないんだろう。見込みゼロだ」
そう言われて感じたのは。
「分かりました」
安堵感だけだった。
.
(先生、頑張ってるなぁ)
ニュースを見てそんなことを思った。
あの後、私は他のそこそこの高校へ遅れて入学した。後悔はしてない。
……けど。
今更だけどさ。
最後に力を振り絞ったオールマイトを見て。
最後の戦いをしている雄英生徒を見て。
巻き込まれそうな私を助けてくれた先生を見て。
ヒーローになりたいって、初めて思った。
.
「お久しぶりです」
「……お前、」
「もう一回だけ、挑戦させて下さい、先生」
また、私は高校を受け直した。
もう一回受験勉強をして。
また、私は合格した。
「戦いはもう終わってしまったかもしれないけど。
人を助けたい。って思ったから」
「また除籍処分になるかもしれないぞ」
「望むところです」
私の同級生は何歳も下。
スタートが人より遅れた自覚もある。
その分頑張るから。
「指導、よろしくお願いします。」
そう笑うと、彼も口角を上げた。
「……それと、」
これも忘れちゃいけないね。
また青春してやるの。あの日の分まで。
私の言葉の続きを待っている先生へ近づき、襟ぐりを手繰り寄せる。
反射的に個性を発動させようとした先生の唇に。
「っ！」
自分のリップを塗った唇で、触った。
「……、お前！」
慌てる先生が可愛くて。愛しくて。
顔が綻ぶ。
こんな顔、初めて見た。照れてるような、。
耳が赤いよ、先生。
ただでさえ、アラサーにしては可愛い顔なのに、赤でくくった姿に私の心も赤く染まる。
「好きです。本気なので、
_______覚悟しといて下さいね」
助けてくれた私のヒーロー。
全力で、これからを。
まるで激しい川のように溢れる、決意の気持ちを、貴方への想いを紅く染める。
.
ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川
韓紅に 水くくるとは
(不思議なことが起こったという、神の世の話でも聞いたことはない。
竜田川が、紅葉で紅をくくっている姿なんて)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 280人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鬱ネコ(プロフ) - 璃月さん» コメントありがとうございます！リクエスト、続編の方で死柄木さんで書かせていただきました。ご不満がありましたら書き直しますのでお申し付け下さい。ありがとうございました！ (2018年12月14日 22時) (
レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
鬱ネコ(プロフ) - みすみさん» 競技かるた部なんですね！かっこいいです。ありがとうございます~！リク、遅くなりましたが書かせて頂きました。続編の方なので良ければ観覧お願いします。コメントありがとうございました (2018年11月26日 23時) (レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
鬱ネコ(プロフ) - Runaさん» ありがとうございます！切ない話を書きたい、って常日頃思っているので、そう言って貰えると嬉しいです。好きだなんて光栄です。続編でもよろしくお願いします！ (2018年11月9日 23時) (レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
Runa - トガちゃんの話好きだななぁ･･･ちょっと残酷だけど、何かトガちゃんの報われない想いとか、切なくて結構好き。続編でも頑張って下さい。 (2018年11月9日 20時) (レス) id: 3e6d8cfb03 (このIDを非表示/違反報告)
鬱ネコ(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» ステイン様続編の方で書かせていただきました！遅くなり申し訳ありません。ご不満がありましたら、書き直しを仰ってください！ (2018年11月8日 19時) (レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鬱ネコ | 作成日時：2018年5月26日 14時
